前への意識がないバルセロナは強さが失われる!?
チャンピオンズの決勝進出を決めたセカンドレグを2対3で敗戦したことよりも、その試合の内容が一番気になる部分であった。ファーストレグの大量リードからくるセカンドレグの戦い方は、決して褒められた内容ではなかった。
後ろに下がって守備をするチームだったが、後半は前線にボールを送れずに押し込まれる展開が顕著になった。勝ち上がりを決めて余裕があったから仕方ないと思わずに、さらにチームが強くなるために悪かった部分を考えていきたい。
今回は「前への意識の大切さ」というテーマです。
■ 目次
後ろに下がり良い事はほとんどなかった
バイエルンとのセカンドレグでは、試合開始から10人が守備意識を強めて試合に挑んだ。スアレスやメッシもしっかり後ろに下がり、バルセロナと対戦するチームのように4-5-1の守備ブロックを作って戦うことをルイス・エンリケは選んだ。
結果から言えば、バルセロナの良い部分は少ししか出なかった。試合開始前からペップが口にしていたバルサの世界最高のカウンターも、それが発動する回数は少なかった。効率性だけは絶賛しなければいけないのだが。
押し上げがほとんどなく、本当に前線の3人に頼った攻撃になってしまった部分が大きくなってしまった。ラキティッチとアウベスぐらいしか攻撃に絡めなかった。
守ってはバイエルンの横パスで中盤の選手同士の間隔が開いてしまい、そのギャップを何度も通される始末。スライドとカバーリングの守備が統率されていなく、主力が抜けていてもパス回しの上手いバイエルンと言うより、ボールの出し手にプレスがかかっていないので、良質なボールが前線に何度も送られる状況になってしまった。
リベリやロッペンのようなエース級の選手がいたらもう少し失点していただろう。その場合は集中力が持続されていたかもしれないが。
得点意欲の無い攻撃の虚しさ
完全に逃げ切れると確信した2点目を決めた瞬間から、バルセロナは攻撃の手をほぼ完全にやめてしまった。スアレスとネイマールはまだ得点意欲があったが、後半にスアレスが下がるとチームとして得点を奪う意識は皆無になってしまった。
後半は試合終盤になるまで、バイエルンのPA付近に近づくことも出来なかった。後半になるとバイエルンのプレスでボールも保持できないバルセロナは、時間を使う為だけにボールを回していたように映っていたのは自分だけか。
ボールを渡せばバイエルンに主導権を握られると分かっていても、バルサの選手はそれに対して後半の45分間を無策で戦い続けた。ただ時間が過ぎれば勝ち上がりが決まると言うだけで。
得点の意欲を持つ意味は確かにない状況だったが、それによってチームの攻撃とパス回しが悪循環してしまったのは間違いなかった。
改めて感じる前への意識の大事さ
今シーズンのバルサと言うか、今年に入ってからのバルセロナは前への意識をほとんど失くさなかった。どれだけリードしても嫌がらせのように前線の3選手が、得点を狙い続ける姿勢を崩すことはなかった。
それによって前線からのプレス、縦への速い攻撃、パス回しでの前線への供給など、常に目的意識を持って試合を進めた。得点というサッカーの一番大事な目的意識を失くしたバルセロナは、セカンドレグでバイエルンに負けて当然だったのかもしれない。
もちろん180分が経つ前にほぼ勝ち上がりを決めたバルセロナは称賛に値するが、エンリケバルサにしては珍しくメンタル面でダメな試合をしてしまった。
今までのどんな試合でも見せなかった顔であり、この少しの余裕が来季も戦うであろうルイス・エンリケのチームを苦しめなければ良いのだが。チームのクライシスは少しの余裕と油断から生まれるのがほとんどだから、そこだけが心配な点である。
残り4試合であり、ほとんどの試合で勝てばタイトル獲得に直結する試合でもある。メンタル面や前への意識でエンリケバルサに心配はしていないが、シーズンの最終局面ということもあり、ルイス・エンリケが選手達に喝を飛ばしても良い状況だろう。
ペップの頃に比べてアウェーにも強くなったのは前線が少人数でも仕掛けられるためにリスクを冒さず攻撃的にいけるようになったからでしょうか。
まぁ残りの試合は全て決勝戦ですし、今回の反省を活かす場面があるとしたら来シーズン以降でしょうね。