ルイス・エンリケ 戦術から戦略へ① 勝負を決めるのは
パリ戦を終えて、バルサは今シーズン初の失点と負けを喰らわされた。この10月に入った時期に、チームとしての完成度に文句はない。それよりもルイス・エンリケは、よくチームの戦う姿勢やメンタルを立て直してくれたとも感じる。
今回言いたいのは、サッカーというのは相手チームと競うスポーツであり、こっちの予想通りに行く試合もあれば、上手くいかない試合もあるものだ。その中で、監督という立場での戦術と戦略の仕事について書いていきたい。
プロサッカーチームの監督というのは、チームをまとめ上げる役割を担っている。また試合への準備をして、対戦相手のストトングポイントやウィークポイントを見つけ、それをチームで実行する為の戦術や戦略をたてる必要がある。
まず、戦術と戦略の違いについて私が思う事を述べたいと思う。戦術はチームの基本的な戦い方である。バルサであれば、パスを回しながら相手の陣地に侵入し、相手のディフェンスの組織を崩して決定機を作り出す事である。また、ルイス・エンリケのバルサでは、2-3-2-3の形でパスを回したり、前線からのプレッシャーだったり、ラインの上げ下げの決まり事だったりと様々な部分がある。チームにおける決まり事だと思ってくれれば良い。
戦略は対戦相手に対して仕掛ける作戦である。対戦相手の右サイドが弱いと見ればこちらが左サイドを中心に攻めたり、ロナウドがいるからラキティッチの位置を低くして、ボールに触るたびにすぐに二人で囲みに行くような、その試合における有効な作戦である。対戦相手ごとにストロングポイントやウィークポイントも違うので、監督は戦略を立てる必要があるのだ。
ヨハン・クライフがインタビューで面白い事を言っていた。「監督が試合前に建てた作戦はほとんどが使えないものだ。なぜならば、対戦相手がどう戦ってくるか分からないからだ。だから、私は開始5分で試合の状況を読み取り、そこで対応できる監督が良い監督だと思う」
このコメントを見てもわかる通り、試合前に建てた戦略は少ししか意味を持たない。試合の中で刻一刻と状況が変化していく中で対応しなければ、相手が強いほど勝つのは困難になるものだという事が分かる。
少し余談ではあるが、私が好きなアニメのコードギアスの主人公が「勝負を決めるのは戦術じゃない。戦略だ」というセリフがあるが、私もそう思う。
現在のバルサは豪華なメンバーがおり、どの強豪を相手にしても決してヒケはとらないだろう。また、ほとんどのチームに比べて豪華な選手がおり、戦略を建てる事は少ないが、強豪相手になるとそういう展開にはならないだろう。昨日のパリ戦が一つの例になったと思う。
だから、ルイス・エンリケは試合前の戦略はもちろん、試合中に戦略をたてる必要があるのだ。試合中の戦略をたてる力が、ルイス・エンリケは弱いと感じる。監督となって10年も経たないので難しいとは思うが、それをしなければバルサのチャンピオンズでの優勝は決して訪れないだろう。