クラブW杯で導入されたビデオ判定の3つの改善点

バルセロナがエスパニョールとのバルセロナダービーで快勝を収めた約10時間前、日本ではクラブW杯の決勝が行われていた。延長戦の末レアルが優勝したわけだが、今大会ではビデオ判定が導入された。

そして決勝の後半45分に、セルヒオ・ラモスが金崎選手を倒したことでイエローカードを喰らい、この試合で2枚目を出されることにより退場となるべきだったという議論はしばらく続いた。

今回は「ビデオ判定の改善すべき3つの点」というテーマです。ビデオ判定というルールがさらに良くなるために書いており、レアルがビデオ判定で助かったということを伝えたいのではありません。最後には健闘した鹿島のことも少し。

まだまだ試験段階のビデオ判定

どんなルール改正も慣れるまでは多少混乱するもので、今回のビデオ判定という新しい取り組みでは、その混乱は試験前から大いに予想出来ていた。

案の定、準決勝の鹿島対アトレティコ・ナシオナルの試合でビデオ判定がなされた時、現地観戦していた人にとっては何が起きているか分からない人が多くいた。また「ビデオ判定中です」と出ても、どのシーンがビデオ判定されているか理解するまで時間もかかった。

今回のビデオ判定では試合中の決定的なシーン「PK、レッドカード、得点時」などに使われるという説明だったが、上記に書いたセルヒオ・ラモスのシーンこそ、ビデオ判定されなかったことを疑問に感じた人も多いだろう。

あの時、鹿島陣営はビデオ判定してくれと審判に訴えていたが、主審はそれを必要ないということでビデオ判定はされなかった。一応アトレティコ・ナシオナル陣営も鹿島戦で何度かビデオ判定してくれと審判に訴えていたが、それもすべて却下されていた。

試験的に導入されたビデオ判定はこのクラブW杯で2度試す機会があったが、その2度からいくつかの問題点を浮き彫りにさせた。

 

浮き彫りになった問題点は「時間、権限、状況」

・時間

問題点の1つ目は、「時間」である。時間と言っても実施される時間もあれば、現地観戦している人や映像の前で見ている人への説明の時間をもっと短く伝えるべきという点。

何人かのサッカー関係者が、ビデオ判定で試合が止まるのを嫌う発言をしていた。1分や2分間試合が止まることはサッカーではまれで、今までは選手が怪我をして担架で運ばれる時ぐらいしかそういう時間はなかった。時間稼ぎなどでは1分間ぐらいあったかもしれませんが。

見ている側にとっては1分や2分間試合が止まってもそこまで支障はありませんが、ピッチでプレーしている選手は集中力の維持やテンションをキープするのは難しくなる。また、サッカーではバスケのようにアウトプレー中に試合の時計が止まることなく流れていくもので、前半と後半の45分間という時間がスピーディーに流れていくのは1つの特徴でもある。

このサッカーのスピーディーな展開を止めることになるのが、ビデオ判定と考えられている。その為に、将来的にはビデオ判定の時間をより短くする必要がある。目安としては時間的に1分でも長いので、30秒ぐらいなら選手達も給水時間と考えれば、そこまで支障がないように思う。

時間の短縮という点では全てを主審が判断するのではなく、明らかに映像を見て間違っている笛ならば、補助審判(3人)の判断が誤審という意見で全員一致なら、その時点で主審に伝え笛を訂正するというのも助けになるのかもしれません。

最後に時間では現地観戦している人、また映像で見ている人にビデオ判定中というのをすぐに知らせる必要があり、そのシーンをすぐにスクリーンなどでリプレイ映像を流すべきである。ビデオ判定中でどのシーンというのがすぐわかり、試合を見ている人や選手にとってもスムーズにビデオ判定が理解できることになるでしょう。

 

・権限

2つ目は、「権限」である。今回では、ビデオの前で見ている補助審判(3人)が主審に助言して行われる流れとなっていたが、その流れだけではビデオ判定は確立されないということは間違いなく実証された。

テニスでは選手がビデオ判定を「チャレンジ」という名目で数回審判にお願いでき、その判断が正しければチャレンジの回数は減らないというものになっている。サッカーでもそういうルールの方が、透明性があり両陣営にとっても助けになるのは間違いない。

元々は映像で判断して誤審を少なくするのが狙いのはずで、審判と補助審判の判断だけでそれを実行されていては、そこまで透明性が出るものにはならないだろう。これなら八百長や買収と言われる機会はまだ出てきそう。

映像である程度正しく判断できるのであれば、両陣営の代表でもある“監督”がビデオ判定を要求すれば、1試合で数回チャレンジできるルールに改正すべきである。

最終的にビデオ判定の権限は、補助審判から審判への流れが1つ、そして両陣営からのチャレンジという形式で行われるべきである。この権限に関しては、試行された今大会で強く感じた人も多いのではないでしょうか。

 

・状況

3つ目の最後は、「状況」である。状況というのはシチュエーションという意味であり、今回の「PK、レッドカード、得点時」以外にも幅を広げるべき必要がある。

セルヒオ・ラモスの2枚目のイエローの件のように、試合の流れに大きく影響するプレーに対して、ビデオ判定を行えるようにするべきである。この件はレッドカードに該当しているとは思いますが。

これを実行に移す場合は1つ目と2つ目の「時間」と「権限」の問題をクリアしてからの問題にはなるでしょうが、ビデオ判定がスムーズに行われ透明性のあるルールになったならば、1試合で数回行われても問題ナシでしょう。

スローインなどのマイボールで何度もされては少しどうかなとは思いますが、それが5秒で正しく判断されるなら、全てのプレーにビデオ判定を導入しても間違いではないだろう。こうなったら主審の権限がなくなり主審や副審の存在意義がなくなって問題なのかもしれないが、見ている側にとってはこっちの方がありがたいというのが本音。

3つ目の状況としては、ビデオ判定出来るプレーの幅を何処まで広げるかは課題になるだろう。それはこれからのビデオ判定の成長にかかっているのかもしれませんね。

ここまでビデオ判定について書いてきましたが、個人的にはビデオ判定導入自体必要ないと思っています。今までのように多少の誤審があるのがサッカーだと思っており、審判は完璧に笛を吹けないものとして見ているので、そういうのもサッカーの楽しみの1つなのかなと思います。

例えビデオ判定が導入されてもそれはプロの世界だけで、アマチュアや育成年代ではお金の面含めて導入されることはないでしょうし、サッカー界全てに影響しないルール改正は必要ないとも思います。育成年代とプロになった時のプレーに違いが生じ、選手にも多少の戸惑いが発生するのかなと思います。

 

予想を覆して健闘した鹿島アントラーズ

クラブW杯の決勝カードとなった鹿島アントラーズ対レアル・マドリード、恐らく応援する鹿島サポーターでさえ、自チームの鹿島が勝つのは難しいとは感じていたでしょう。

海外ではサッカーの試合で合法的に賭けが行われており、確かこの試合のスコア予想では0対3や0対4でレアル勝利を予想している人が多かったように思います。そしてほとんどの人が90分間でのレアルの勝利に賭けていたはずです。

レアルファンからすれば本調子じゃねぇよと言い訳したいでしょうが、鹿島が結構レアルを苦しめたのも事実。コンディションやモチベーション、選手状況含め1つの試合なので、本調子ではないなどは言い訳にすらならないのですが。

自分もまさかここまで鹿島が善戦するのは予想外で、特に先制点を奪われた瞬間に敗戦決定と思っていました。今大会の鹿島の“勝利”へのブレない戦いは世界でも称賛され、チームだけでなく何人かの選手も称賛されたはずです。

鹿島アントラーズの戦う姿勢は本当に見事で、試合後に審判のジャッジに対して発言している人はどこかサッカーを観ているべき点が・・・。こういう試合を見た後はシンプルに鹿島に拍手をするべき試合で、改めて鹿島アントラーズに称賛を( `ー´)ノ。

日本のサッカー界がこれで世界に近付いたなどとは言いませんが、よく善戦してレアルを苦しめたなと思います。なんといってもサッカーに対する姿勢や勝利の為に戦う姿は間違いなく、世界基準のクラブで素晴らしいクラブへと発展していったと思います。もう一度鹿島アントラーズに称賛を<m(__)m>

 
 

1 Responses to “クラブW杯で導入されたビデオ判定の3つの改善点”

  1. ゆうzi より:

    最近ラキティッチが試合に出ていませんが何かあったのでしょうか?
    今のインサイドハーフのファーストチョイスは誰なんでしょうか?

コメントを残す

このページの先頭へ