15/16リーガ第31節 4/2 バルセロナVSレアル・マドリード クラシコ 試合評価

試合支配率

※赤色はバルセロナ、黒色はレアル・マドリード、白色は互角

20160402 レアル・マドリード戦

・バルセロナ5分、レアル・マドリード10分、互角75分

前半はほぼどちらも主導権を握ったといえる試合ではなかった。どちらにも良い時間帯が少しあったが、どちらもこれで勝利に決定打になるほどの出来ではなかった。後半は立ち上がりからバルサが若干攻め込んでそれを受けてレアルがカウンターという前半よりはっきりした形になったが、バルサの良い時間帯はリードしてから余裕を持ってパス回しをした数分間だけだった。基本的にイーブンな試合だったが、試合終盤にバルサの中盤の選手が戻り切れずにレアルに試合の主導権は傾いてしまった。

試合での問題点

まずこの試合で1番目に付くのはやはりメッシが中央に固執したポジショニングである。いつもは右をスタート位置として流れながらのプレーだけだが、この試合ではかつてのゼロトップシステムの時のように中央に居続けた。中盤の中央を小さな三角形を作って3人で固めるレアルの守備とはとても相性が悪く、常にメッシの周りにはレアルの数人の選手がマークに付いていた。メッシが低い位置からの突破をする状況が続き、さらにほとんどボールを前に運べずボールを奪われるという完全に悪循環な流れにはなった。これがルイス・エンリケの采配かメッシの判断かは分からないが、クライフ追悼試合で美しく勝つことを意識して中盤を圧倒的に支配するという、細かく華麗なパス回しで勝つための強引な策だったと思いたい。次の試合には普通にメッシが右に入るのは間違いないとは思う。

上記のメッシが中央に入ることで起きることだが、右からの攻撃がほとんど皆無で攻撃が左サイドと中央になってしまいピッチを広げれなかった。クライフの考える「攻撃時にはピッチを広く使う」ことをできず、レアルの守備を楽にさせてしまった。思い返せばマルセロは守備をしていたのかなと思えるほどで、バルサの右サイドからの仕掛けはほとんどなかった。アルダを投入して右サイドのピッチを広く使おうとしたのだろうが、その効果はほとんど出なかった。

最後はルイス・エンリケ批判ではなくバルサの現状の問題で、鉄板メンバーがスタメンを張った時の途中交代で切れるカードがいない。今年に入ってからルイス・エンリケが交代枠の3枚を使い切った試合は少なく、大事な試合になればなるほど交代枠を使わないというのが現状である。昨季は守備固めのマテュー、中盤を落ち着かせる為のシャビ、前線の運動量を活性化させるペドロの途中交代があったが、今季はマテューの離脱もありこれといった交代策が思いつかない。運動量を求めるならセルジ・ロベルト投入もあったかなと終わってみれば思うが、試合の現場にいたと仮定したら交代に動くほどの根拠もないと言うのがバルサの現状である。鉄板メンバーの11人がいるのは安心だが、交代枠で変化をもたらすのが難しいと言うのが今季のバルサの後半戦の問題点なのかもしれない。

試合での良好点

試合終盤は逆転されたこともありとても不快な試合だったが、後方の7人はとても頑張って守備をしていたように思える。75分付近まではレアルにそこまで大きなチャンスを与えず、挟み込みやしっかりマークを付くことでレアルの前線をできるだけ抑えていたように思える。ある程度のピンチはレアル相手には仕方ないもので、ラスト10分間はスペースもあり1対1の状況を作られ厳しかったがそれでも闘う姿勢を見せれていた。

ちょっと目についた選手

・バルセロナ

FWメッシ

勝利するのが現状のバルサはMSNに大きく依存しているので、やはり負けた時もこの3人の出来が悪かった。代表予選で南米からの長期移動など同情できそうな部分はあるが、レアルの選手達も代表戦を戦ったメンバーがおり言い訳にはならないだろう。特にメッシの動きはほとんどなく、試合終了後にほとんど息もキレずに汗もかいてないように見えたメッシの姿を見て、もう少し動いてくれよと思ったのは自分だけだろうか。

FWスアレス

MSNの中では最もハードワークして戦えていた選手だった。代表戦の疲れなのかボールタッチに精彩を欠き、前半9分の決定的なシーンでもボールをミートできないという信じられない状況があった。ラストパスもずれることが多く、これが不調というか調子の出ていないスアレスなのかなと感じさせた。右に流れてボールを受けたり右サイドの守備も頑張っており、頑張りという部分ではいつもと変わらなかったがプレーに精彩を欠いていたように見えた。

FWネイマール

メッシ以上にほとんど何もできなかったのがネイマールで、左サイドから攻撃の起点や良いドリブルを見せたのは前半にいくつかあっただけだった。南米から早く帰国したこともあり期待していたが、完全に期待を裏切られた結果となってしまった。レアルの逆転ゴール時にはボールを奪われて、その後カルバハルをしっかり追いかけなかったことで一瞬バルサのDF陣が数的不利な状況に陥り、レアルの攻撃がスピードに乗ったままゴールを上げた。次のアトレティコ戦で活躍を期待している。

・レアル・マドリード

監督ジネディーヌ・ジダン

初クラシコで勝利したことで采配や戦い方など称賛を浴びるのだろうが、正直な所やっていたサッカーはモウリーニョとアンチェロッティの延長的な戦い方で、中盤に人数をかけて守備ブロックを作るという守備的な戦いを見せただけだった。現実的な采配でバルサに勝利する為に悪くはないのだが、外野から見ている分ジダン監督ということもありもっと攻撃的でボールをつなぐサッカーを見せると期待していた。ジダン監督の最大の手腕は選手から信頼されており、選手達にハードワークをさせてチームを1つに団結させていたことのように感じた。それがトップクラブでは重要で、さすがジダンにはカリスマ性があるのだなとも感じた。

MFカゼミーロ

レアルの中盤の守備で最も睨みをきかせており、球際での強さや守備の上手さを何度も見せた。さすがに守備に特徴がある選手だけにレアルの守備陣を強固にしていた。レアルファンが起用を切望するのも理解出来、今回はジダン監督の起用が完全にはまった代表的な選手の1人だった。

FWロナウド

バルサファンから個人主義の選手と考えられていたが、今回のクラシコでは初めてにも思えるチームの為に走ったり守備を見せた。最後は決定力の高さを見せ決勝ゴールを奪い、走力の高さも見せつけた。こういうロナウドもたまには良いかもと思わせた。

最後に一言

結果的にクライフ追悼試合となるカンプノウクラシコで敗戦し、ライバルチームに勝ち点差を詰められた形となってしまった。でもまだ2位のチームと勝ち点差が6あり、残り7試合を悪くても5勝2敗でバルサの優勝が決まるこの状況はとても良い状態である。まずはこの敗戦を引きずらずに気持ちを切り替え、大会が違う次のCLのアトレティコ戦で良い試合を見せて良いスコアを残すことだけに集中してほしい。中2日で大変だが、しっかり心身共に休んで次に挑んで欲しい。

 
 

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