15/16国王杯決勝 5/22 バルセロナVSセビージャ 試合評価
■ 目次
試合支配率
※赤色はバルセロナ、黒色はセビージャ、白色は互角
・バルセロナ10分、セビージャ10分、互角100分
前半はとても均衡した試合だったが、わずかに攻撃で良い形が多かったセビージャのゲームプランという試合に終わった感は否めないかもしれない。後半に入ってバルサの数的不利が見てとれる試合展開になってバルサは苦しい時間帯もあったが、それでもしっかり守ってセビージャの攻撃を喰らう回数は少なかった。延長前半は10人対10人となり五分五分の試合で進んでいたが、バルサは先制点で一気に楽になった。延長後半は試合を終わらせようとするバルセロナが試合巧者ぶりを発揮し、同点に追いつこうとするセビージャを上手くいなしながら試合は終了した。終わってみればバルサは10人で55分近く戦ったこともあり試合全体ではセビージャの時間が長かったかもしれないが、それでも耐えて守って得た勝利とタイトルは王者にふさわしい戦いぶりを見せた。
試合での問題点
前半の11人対11人の段階でセビージャをもっと崩したかった。前半はセビージャはハーフライン付近で強固な守備ブロックで速攻をちらつかせて普通のチームなら攻め込めないのもうなずけるが、バルセロナならもっとサイドを使って崩せたのかなとは思えた。バルサのサイドチェンジはセビージャの中盤のブロックで防がれて思うようにできなかったが、それでもサイドから仕掛けるチャンスがなかったわけでもなかった。来季は最近のリーガで流行っているこの4-4-2のコンパクトな守備ブロック、そして6-3-1に見えるような超守備的でバルサのサイドチェンジをほぼ無効化にする固い守備の崩しは大きな課題となりそうだ。
試合での良好点
選手達は「勝ってやる」という強いメンタル面をプレーで証明してみせた。前半は少しプレスが弱くて「あれ!?」と思えるシーンもあったが、10人になったことでチームとして完璧な一枚岩となって戦っていた。数的不利でもチーム全体が走って攻守を行い、ゴール前での体を張った守備はエンリケバルサになってからの1つの特徴と言えるかもしれない。
勝負所を見極めた選手達の賢さ、そして選手達の試合巧者ぶりを見せた試合となった。苦しく耐える時間はチーム全員で守備をし耐えて、前に出る時は最終ラインのマテューが飛び出したりと、チャンスになる瞬間に選手達はしっかり反応して試合の流れを見極めた戦いぶりを見せた。リードしてからはセビージャの焦りや苛立ちを逆手に取ってファールを受けて時間を上手く使い、セビージャの反撃をほとんど許さなかった。サッカーファンが見ていて「ここだ!」という瞬間や「ファール受けろ!」という瞬間にそのプレーをバルサの選手達は行い、技術の高さだけでなくフィジカルの強さ、そしてハートの強さと頭は冷静に賢さも見せ、ある意味10人になってからのバルサは完璧に近い試合を見せた。
ちょっと目についた選手
・バルセロナ
DFピケ
最終ラインで体を張って守り、一部のバルサファンにはこの試合のMVP級の活躍を見せていたように思える。セビージャの攻撃が中央に入るとそこにはピケの存在があり、バルセロナにはとても頼りがいのあるDFリーダーであった。この試合“も”高いパフォーマンスを見せて、バルセロナのタイトル獲得に大きく貢献してくれた選手だった。
DFアルバ
この試合の決勝ゴールを決め、メッシとのホットラインは相変わらず神がかっている感じを見せた。守備でも左サイドでセビージャの右からの攻撃を防ぎ、クロスボールの対応も体の小ささを感じさせないほど強くてうまい。上下運動に何度も往復して動き、バルセロナのSBとして技術の高さだけでなくフィジカルの強さ、勝負強さも含めて理想的な選手となっている。
MFブスケツ
中盤の攻撃ではイニエスタが大活躍していたが、守備ではブスケツが目立っていた。1対1の対人では足の長いタックルでボールにしっかりといき、SBの飛び出したスペースもカバーしたりと気の利いた活躍ぶりを見せた。前線にもプレスにいこうとしたり、チャンスと思えば前線に走り込んだりと豊富な運動量もブスケツの大きな武器となっていた。この試合ではブスケツは目立っていなかったが、これぐらいブスケツが良い意味で目立たない試合ではバルサは強いと感じさせた。
MFイニエスタ
鬼キープ、判断力の高さ、圧倒的な技術で苦しい時間に中盤でボールをキープし、バルセロナに一息つかせる休息を与えると共に後半終盤のバルサの良い攻撃のリズムはイニエスタから作られた。全盛期の圧倒的な存在感のイニエスタの姿にもダブり、エンリケバルサになってからの黒子的なイニエスタとはまた一味違う活躍ぶりを見せた。まだまだこんな凄いプレーをやろうと思えば簡単に出来そうなのがイニエスタの凄みをさらに感じさせた。
FWメッシ
バルサが10人になっても前線に残ってそこまで守備をせずに特別扱いを受けていたが、しっかり2アシストしてチームを勝利に導くのだから文句も言えなくなる。メッシを残してチームがしっかり守るのもうなずける。試合終盤は上手くファールを受けて時間を使い、試合の流れをしっかり理解しながらのプレーぶりも見事だった。
FWネイマール
最後の最後にセビージャのネットを揺らすダメ押しのゴールを奪い、ネイマールも決勝や短期決戦では何かを持っている男に感じる。チームの為に守備では左サイドに戻って守備をし、攻撃になれば左サイドをドリブルで駆け上がってネイマールの心肺機能の高さを見せつけた。この試合ではチームの為にしっかりプレーしていた。試合終盤に時間をつかったり攻めなくて良い所で個人で突破しようと判断が悪い所も見られたが、ここは経験を積めばもっとネイマールも賢く試合巧者ぶりが出てくるだろう。
最後に一言
主要タイトル2つ(リーガと国王杯)、そしてUEFAスーパーカップとクラブW杯を制してバルセロナは4つのタイトルを獲得して今シーズンを終えた。戦った6つの内4つのタイトルを獲得し、シーズンが終わればバルセロナ周辺には幸福なムードで終えることが出来なのではないだろうか。今回の国王杯のタイトルも簡単に獲得できたわけではないし、改めてタイトルを獲得する難しさを感じさせるシーズンともなった。今はただバルセロナのリーガと国王杯の優勝を祝い、少しの時間はこの勝利に酔いしれた時間を過ごすのも良いでしょう( `ー´)ノ