16/17リーガ第2節 8/28 A・ビルバオVSバルセロナ 試合結果・評価
■ 目次
選手
バルセロナ 監督ルイス・エンリケ 4-1-2-3
GKシュテーゲン
DFセルジ・ロベルト、ピケ、ユムティティ、アルバ
MFブスケツ、ラキティッチ、デニス・スアレス
FWメッシ、スアレス、アルダ
リザーブメンバー
マシップ、マスチェラーノ、ビダル、ディニュ、アンドレ・ゴメス、ラフィーニャ、ムニル
選手交代
71分ユムティティ→マスチェラーノ、71分デニス・スアレス→アンドレ・ゴメス、83分アルダ→ラフィーニャ
欠場者
シレッセン(判断)、マテューとイニエスタ(怪我)、ネイマール(休暇延長中)
アスレティック・ビルバオ 監督エルネスト・バルベルデ 4-2-3-1
GKイライソス
DFデ・マルコス、ボベダ、ラポルト、バレンシアガ
MFイトゥラスペ、ベニャ、ウィリアムズ、エラソ、スサエタ
FWアドゥリス
アリサバラガ、レクエ、エチェイタ、ムニアイン、ベスガ、サビン・メリノ、ラウール・ガルシア
62分エラソ→ラウール・ガルシア、62分イトゥラスペ→ベスガ、75分スサエタ→ムニアイン
試合結果
アスレティック・ビルバオ0VSバルセロナ1
得点者
21分ラキティッチ(アルダ)
試合支配率
※赤色は完全なバルセロナ、オレンジ色は少しバルセロナ、白色は互角、灰色は少しビルバオ、黒色は完全なビルバオ
・バルセロナ30分、アスレティック・ビルバオ5分、互角55分
20分まではほぼ互角の試合展開。バルサは先制点を取ってから少し余裕が生まれ、局面局面でバルサが優れていた場面は多くみられた。試合終了まで完璧なバルサペースの時間帯があったとは言えないが、90分間ほぼ試合をコントロールしたといって良い試合を演じた。この試合でも流れの中からビルバオにチャンスはほとんどなく、最少得点差での勝利となったが完勝の試合内容だった。
試合での問題点
相手のゴール前での決定力という効率性以外は問題ナシで、さすがにこの試合では前線の選手はシュートを外し過ぎた。それでもラキティッチのゴールでしっかりと勝利を収め、チャンスも作り守備でもしっかり守ってチームとしてまとまりを見せていたので、“たまたま”決まらなかっただけと切り替えたい。次の試合は代表ウイーク明けで厳しいかもしれないが、バルサのゴールラッシュはすぐさま戻ってくるはず。
試合での良好点
何と言ってもバルサの守備ブロックが固い。4枚と4枚の守備ブロックの8人がしっかりと味方と相手の選手を見てポジショニングを取っており、結果としてバルサのCBは限定されたコースに来たボールを跳ね返す仕事が結構あった。球際や競り合いでもビルバオに全く負けておらず、体の使い方の上手さを考えたらバルサが勝っていたぐらい。90分間通して集中した守備を見せて見事完封の試合で終えた。
ビルドアップで数回悪いボールロストはあったが、ほぼほぼ完璧な安定したビルドアップを見せた。GKのシュテーゲンも多く使いながらピッチを広く使い、ビルバオの連動した激しいプレスを感じさせなかった。ボールを貰う動きやポジショニングはとても良い状態で、選手の球離れや判断もさすがバルサの選手と言えるレベルを見せてくれている。ボールを大きく蹴ったとしてもそこで競り合った後のフォローが速く、バルサの中盤の選手はあっぱれな仕事ぶりだった。
今シーズンのエンリケバルサの大きな特徴なのか裏への飛び出しの動きが多く、それは前線の選手だけでなくCHの2人もその役割を大きく担っている。バルサの得点シーンではデニスもラキティッチも前線に入り込んでおり、ボール保持時の逆サイドのCH選手が飛び出す機会がとても多い。コンパクトな守備をしようとする対戦相手にとても有効で、このランニングもあってかメッシが中央寄りでボールを受けやすくなっているのかもしれない。メッシがボールを持つと多くの選手が反応して動き出しや飛び出しを見せており、そこにメッシのピンポイントパスがあるからバルサは強さを増している。
選手評価・採点
※()の中の数字は選手評価点。6が平均で1が悪く10が最高点。★はMVPの選手。
GKシュテーゲン(8)
足元のプレーでは前半に1度この試合最大のピンチになるパスミスをしたが、それ以外はほぼ完璧なつなぎを見せた。両足をつかえるだけでなくキックの種類も多く、普通のGKでは蹴れないコースのパスを通すことも多かった。セービングでもしっかりとしたキャッチングでビルバオの攻撃を止め、とてもハイレベルのプレーを見せた。この試合のGKがブラボならもっと大きく蹴り出すシーンは多かっただろうが、シュテーゲンの足元の高さがとても活きた試合だった。
DFセルジ・ロベルト(8)
ビルドアップでは体の使い方やドリブルでかわすシーンはさすが中盤の選手と言えそうだが、SBというパスコースが少ない状況でも判断が悪くなることなく安定していた。後半は攻撃参加でも良いドリブルを見せ、スペイン代表に呼ばれる納得のパフォーマンスだった。守備でも危ないシーンはほとんどなく、体の使い方が上手いのでそれでファールを貰ったりと頭の賢さも見せるシーンがあった。
DFピケ(7)
ハイボールや横からのクロスボールを何度も頭ではね返し、ポジショニングの良さは相変わらず。不用意なファールもなくことごとくはね返しており、さすが本職のCBの選手でディフェンス技術も高いと思わせた。ビルドアップでもしっかりとグラウンダーのパスでつないでおり、特に問題は起きなかった。
DFユムティティ(7)
身体能力の高さを見せたカバーリング、競り合いなどでビルバオの攻撃を防いだのは良かった。ポジショニングも良くラストパスをクリアするシーンもあった。相手のFWが背を向けているときの寄せの甘さを感じたが、それはこれからの課題。ビルドアップでは落ち着いてパスを散らしておりドリブルの持ち出しも良く、もうビルドアップでは全く心配する要素はなしと考えて良さそうだ。
DFアルバ(8)
ウィリアムズという足の速い選手を抑え、CBや危険なエリアもしっかりとカバーリングした守備を見せた。この試合ではバルサの両SBの攻撃参加は少なかったが、落ち着いたパスの供給とドリブルのタイミングの良さ、そしてここぞという時の攻撃参加は出来ていた。アルバの場合大きなミスをしない限り完璧に安定しているのでバルサの安心できる選手。
MFブスケツ(7)
ビルバオにマークされてパスを散らす機会は少なかったが、それでも鋭い縦パスを送ったりとボールを持てば安定していた。この試合では守備面で大きく貢献し、中央でデニスと連携を取ってスペースを消して守ってくれた。ブスケツの背後のスペースをやられるシーンもあったが、チーム全体でカバーしてブスケツも戻ってきたりとチームへの献身性はとても高くてよかった。抗議でのイエローだけはいらない部分で、ファールではなかったがイエローを貰うほど主審に食って掛かってはダメ。
MFラキティッチ(9)★
この試合で紛れもないMVPの選手。決勝点となるヘディングシュートを決めただけでなく、攻守においてラキティッチの存在感は際立っていた。攻撃ではビルドアップ時の状況判断はとても高く、特に前後半序盤にボールをチョンと触って縦にかわしたシーンはとても効果的だった。気合いMAXでプレスをかけようとするビルバオの気持ちを少し後退させ、プレスを強くかけすぎたら背後のスペースをやられる場面を脳裏にちらつかせた。守備では右サイドでセルジ・ロベルトと連携して上手く守っているだけではなく、中央への絞るカバーリングも見事で危険な状況を数回ボールカットしていた。最終ラインにも戻って体を張って守ったり、体の使い方も見事で球際でことごとく競り勝っていた。日本人がシャビやイニエスタではなく、ラキティッチを目指すような選手が出てくればなと切に願う。中盤の良いお手本のような選手。
MFデニス・スアレス(7)
積極的にゴール前に飛び出し、ゴール前で数回シュートに持っていくシーンも見られた。フィニッシュは少し課題かなと思えるが、中盤の1人としてとてもハードワークして闘っていた。球際でもフィジカルでは勝てないがしっかりと競り合っており、ビルバオに簡単にプレーさせることはなかった。パスのつなぎでは華麗なボールタッチを見せるシーンもあり、少しずつデニスの良さが出てきている印象。状況判断やプレーの質が高く、バルサの中に入ってこれだけ違和感なくプレーしているのはデニスの選手としてのポテンシャルの高さを感じる。
FWメッシ(7)
この試合でもハーフボレーのような蹴り方でサイドチェンジを決めたりと、メッシのパスが光るシーンは見られた。この試合では右や中央で攻撃の起点となっており、ドリブルやボールキープでバルサの攻撃を引っ張った。メッシ自身は少なかったが好機のフィニッシュで外していたのが少し減点で、1本でも決めて2点差にしていたら残り時間は楽に試合を進めて勝てたという印象があっただけに決めてほしかった。
FWスアレス(6)
チームへの献身性やポストプレーや飛び出しなど流れの中でスアレスは活躍していたが、さすがにシュートを外し過ぎで平均点評価。ストライカーで何本かさすがに決めてくれないとと思えるシーンがあった。スアレス自身が外しことを1番腹立たしく思っているだろうから、代表戦で活躍して怪我なくバルサに帰ってきて得点を量産してほしい。
FWアルダ(7)
左サイドで攻守によく走りボールキープ力はさすがで、球際でアルダの力強さが完全に戻ってきたと印象付けた試合。精度の高いパスでアシストも決め、とても活躍した選手。守備面ではしっかりと左サイドに戻って守備をしており、バルサの守備面で安定感を出すのに一役買ってくれている。ネイマール復帰後がどうなるかが注目で、ネイマールが帰って来ても数試合はアルダスタメンで進め、その間にネイマールはフィジカルコンディションアップの練習に集中しても良い気がする。
DFマスチェラーノ(6)
試合途中から入ったが多少コンディション面で厳しそうな部分もあるように見られた。プレーを見て納得のベンチスタートだったが、それでもカードを貰ったユムティティの代わりに入っても遜色ない守備を見せた。ハイボールなどフィジカルでごり押ししてくるチームが対戦相手だったら、ユムティティの方が良いのかもとは思わせた。
MFアンドレ・ゴメス(6)
攻守においてまだチームに頑張ってついていっている感じで、適応まで時間がかかりそうな印象。アンドレのフィジカルコンディションがこれで上がってきているのかはよく分からない所で、もっと体にキレだったりスピード感がある選手にも感じる。それでも守備ではポジショングをしっかり周りを見て守ったり、攻撃では左サイドを抜け出したりと良いプレーも見られる。
MFラフィーニャ(6)
ルイス・エンリケのお気に入りの選手でやはり試合終盤だが出場してきたかと思えた交代だった。ラフィーニャも今シーズンは激しいポジショニング争いが待っており、うかうかしていると出場の機会を減らすことになるだろう。10分ほどのプレーだったがコンディションは結構良さそうに見えた。代表ウイーク中にバルセロナで練習して、さらに体の切れを取り戻してほしい。
最後に一言
もっと苦労してビルバオの攻勢に耐える時間も出てくると思っていたが、それを上手くビルドアップでかわしてバルセロナの上手さを見せる試合となった。1点差の勝利だったが試合終盤にそこまでドキドキ感が出てくるほど危ないとも思えなかった。チームの調子がとても良く代表ウイークに邪魔されなければこのまま1ヵ月ぐらいはいってしまうかなと思える出来だが、代表ウイーク後もこの調子の良さを継続できているかは注目となる。それにしてもバルサの選手のレベルの高さを感じる試合であり、苦手なスタジアムの試合を1つ終えて開幕から2連勝と好スタートを切った。
タグ:アスレティック・ビルバオ, 試合結果, 試合評価
セルジロベルトが入ったことでビルドアップが大きく改善していますね。昨シーズン苦しんだハイプレスでビルドアップを狙う戦術(特にブスケツを狙う)は今日のメンバーでは苦しむことはなさそうなのが大きなプラスかと思います。ウンティティも守備はマスチェの方が上に思いますが、ボールスキルが高くパスワークではピケ並みに育つ可能性を感じます。
アルダも素晴らしかった。スタメンにポジションがないのがもったいないくらいです。
書き忘れましたが、
ブスケツへのイエローは本来はデニスのファール(?)だったのに
直接見ていなかったラオス主審が勝手に勘違いしたのでは?
ロベルトはサイドバックとして大化けするかもしれませんね。
プレシーズンまでは物足りなさがあったのですが、
積極的にドリブルで仕掛けるようになってからはかなり頼もしくなっている印象です。