16/17CL決勝T1回戦2nd 3/8 バルセロナ対パリ(PSG) 試合結果・評価
■ 目次
選手
バルセロナ
監督ルイス・エンリケ 3-5-2
GKシュテーゲン
DFマスチェラーノ、ピケ、ウムティティ
MFラフィーニャ、ラキティッチ、ブスケツ、イニエスタ(C)、ネイマール
FWメッシ、スアレス
リザーブメンバー
シレッセン、ディニュ、アルバ、セルジ・ロベルト、アンドレ・ゴメス、アルダ、パコ・アルカセル
選手交代
65分イニエスタ→アルダ、76分ラフィーニャ→セルジ・ロベルト、84分ラキティッチ→アンドレ・ゴメス
欠場者
マテュー、ビダル(怪我)、マシップ、デニス・スアレス(判断)
パリ・サンジェルマン(PSG)
監督ウナイ・エメリ 4-3-3
GKトラップ
DFムニエル、マルキーニョス、チアゴ・シウバ(C)、クルザワ
MFヴェラッティ、ラビオ、マテュイディ
FWルーカス・モウラ、カバーニ、ドラクスラー
アレオラ、キンペンベ、オリエ、クリホヴィアク、パストーレ、ベン・アルファ、ディ・マリア
55分ルーカス・モウラ→ディ・マリア、75分ドラクスラー→オリエ、90分ムニエル→クリホヴィアク
試合結果
バルセロナ6対パリ・サンジェルマン1
得点者
3分スアレス
40分オウンゴール
50分メッシ
62分カバーニ[パ]
88分ネイマール
90+1分ネイマール
90+5分セルジ・ロベルト(ネイマール)
試合支配率
※赤色は完全なバルセロナ、オレンジ色は少しバルセロナ、白色は互角、灰色は少しパリ、黒色は完全なパリ
・バルセロナ20分、パリ0分、互角70分
試合の簡単な流れ
前半
試合が始まるや否や、盛り上がっている大歓声のカンプノウとバルサの選手達の気迫に、パリの選手達は浮き足立った。
パリは自陣に下がってチーム全員で守備をする戦い方を選択し、自然とバルサがボールを圧倒的に支配して有利に試合を進めた。そして、いきなりスコアが動く。
3分に、高く上がったボールをキッカケにごちゃごちゃとなり、最後はスアレスがヘッドでゴールラインを越すヘディングシュートをし、反撃ののろしとなる1点を返した。
その後もバルサペースで試合は進んだが、10分を過ぎる頃にはパリもプレーが切れるたびに時間を使いながら、冷静さを取り戻す。
それ以降はなかなか動かない試合展開に、しびれを切らしたのはバルセロナの選手達だった。20分以降は時間が経過するとともに、少しずつ焦りが見えだした。
審判の判定に過敏に反応したり、攻め急いでいつもはしない縦パスを送ってボールロストし、試合はどんどん落ち着いていった。
しかし、そんな試合展開ながらスコアはバルセロナへと突如に動いた。
前半は逆転にギリギリとも思える1得点だけでもおんのじと思えた40分に、イニエスタが必死にボールに食らいつきヒールキックでゴール前に入れると、これがパリDFクルザワのオウンゴールを誘った。
バルセロナは決定機がほぼなく、良い攻撃の形から奪えた2得点ではなかったが、前半に2得点奪い2対0で後半へ折り返すこととなった。この時点でのトータルスコアは2対4。
後半
後半に入るとパリはバルサ陣地で前からプレッシャーをかけてきた。バルサはビルドアップに少し苦しめられるが、何度もボールを前に運ぶ。
そして後半も試合立ち上がりにスコアはバルサに動く。
48分に、ネイマールがPA内で倒されて一度は主審がゴールキックと判定したが、ゴール裏の審判によってPKへと判定は変わり、バルセロナはPKを獲得。このPKをメッシが決め、この試合3点目となり後1点で同点となるとこまでバルサは追いついた。
前半から相変わらず自陣で守備を固めるパリを崩せないバルサだったが、それでも攻めて攻めて攻めまくってパリを倒すまであと一歩という雰囲気だった。しかし、次にスコアを動かしたのはパリだった。
62分に、セットプレーからカバーニがバルサゴールに強烈に叩きこみ、カンプノウは一気にお通夜モードになって静まり返った。
ほとんどのバルサファンが同点から逆転を想像していた中でアウェイゴールをパリに与えたことにより、呆然とする姿は少なくなかった。残り30分で3得点というミッションに、バルサファンだけでなくピッチ上にいる数人の選手も、少しメンタルが切れかかっているように見られた。
そして時間だけが過ぎていった。ここまでパリを追い込んだバルサの選手達は称賛に値し、トータルスコアでこのまま負けても拍手が送られるだろう。そんなことを考え出した試合終盤にバルセロナ大逆転のドラマが始まる。
88分に、ネイマールがFKを直接叩きこむ。しかしこの時点ではバルサファン、そして監督のルイス・エンリケですら逆転はないといった反応だった。
しかし直後の90分に、スアレスが倒された判定でバルサにこの試合2度目のPKが与えられた。このPKをネイマールが決めて、ここから一気にバルサファンは奇跡の逆転に向けて再びチームを信じ始めた。
アディショナルタイムを見ると5分、1点ならまだ何が起こるか分からない時間がバルサに与えられ、そしてバルセロナはほぼ最後のラストプレーで逆転に成功する。
ネイマールのFKがはね返されもう一度ネイマールがボールを拾うと、クロスを上げるキックフェイントから中に切れ込み、左足でパリのラインの裏にボールを送る。そのボールをセルジ・ロベルトが飛び込んでゴールに流し込み、バルサはこの試合6対1とし、トータルスコア6対5で逆転した。
最後はパリのラストプレーがあるもロングボールを一度バルサがはね返した所で試合終了のホイッスルが鳴り、バルセロナが“奇跡の大逆転劇”でCLベスト8進出を決めた。
試合での問題点
こんな劇的な試合では問題点は無視で、まずは今日はバルサの大逆転をただただ喜ぼう( `ー´)ノ
試合での良好点
決定機がほとんどないバルサがそもそも6点奪えたのが奇跡で、それも全てバルセロナ全体が諦めない気持ちと、勝利出来るという気持ちから不思議と得点は生まれた感じだった。ベタだが「諦めていたら奇跡は起きず、“諦めなかったからこその奇跡の大逆転劇”」となった。改めて初心忘れるべからずで、サッカーにおいてメンタルの重要性を感じさせられた試合だった。
選手評価・採点
※()の中の数字は選手評価点。6が平均で1が悪く10が最高点。★はMVPの選手。
今日は全員満点で、全員をMVPに!!!
GKシュテーゲン(10)★
ほぼ出番はなかったが、失点シーン以外ではほぼパーフェクトなプレーを見せた。特に失点直後のカバーニとの1対1のセーブは大逆転劇に必須なセービングで、あのセーブは終わってみればとても大きかった。最後はゴール前に入ってくるなど、バルセロナの攻撃性の強いメンタリティがある偉大なGKだった。
DFマスチェラーノ(10)★
何度もパスカットしセカンドボールを拾い、パリの攻撃を止めると同時に安定したパス供給元となった。スピードあるパリの前線の選手達に前で守備をしてスピードに乗らすことはなく、チームの逆転に大きく貢献した。
DFピケ(10)★
最後尾で逆転を諦めず戦い、少し冷静さを失うシーンはあったものの、声を出して最後尾で安心できるプレーでチームに貢献した。ピケのビルドアップ能力の高さはこの試合必要不可欠な要素だった。
DFウムティティ(10)★
パスカットでパリの同サイドの選手にほぼ仕事をさせず、パス出しとしても難しいシーンがありながらもロストする機会は少なく、地味ながら重要な選手だった。今のバルサはウムティティが試合に出ると負けないという気が自然とする。
MFラフィーニャ(10)★
右で何度もボールを受けて、激しい攻守の切り替えでボールを奪い返したりと、ハードワークして1対1で何度も勝利し、チームのつなぎ役として大きな仕事をした。
MFラキティッチ(10)★
どんなシーンでも諦めないプレーを見せ、パリの得点後も変わらず集中した必死のプレーを見せた。不用意なファールはほぼなく、プレスやフリーランニングやサポートの動きでチームを支え、本当に日本人にはお手本にしてほしい選手だと改めて感じさせた。
MFブスケツ(10)★
鋭い縦パスを何度も通しながら、プレッシャーがかかってもひょいと鮮やかなボールタッチで相手選手をかわし、このポジションで最高の選手だと再認識させられる。第3者の意見に興味がないとブスケツ本人は言うが、個人賞でもう少しブスケツを評価してあげても良いと思わす、高次元のパフォーマンスでチームの大逆転に欠かせない存在感だった。
MFイニエスタ(10)★
パリのブロックの前にイニエスタの光るプレー自体は多くなかったが、チームの2点目と3点目のきっかけはイニエスタだった。ボールロストはほぼなく、プレスの激しい相手の時のイニエスタのボールを落ち着かせる存在感はやはり大きかった。
MFネイマール(10)★
最後まで諦めなかった選手の代表格で、冷静さを欠くと個人プレーにはしる所はありながらも、最後はネイマールの諦めない姿勢がチームの大逆転を呼び込んだ。MVPを1人選ぶなら今日はネイマールで、本当に勝利に貪欲で、将来のバルセロナのエースで間違いなし。今日はネイマールに大きく助けられた。
FWメッシ(10)★
パリの人数をかけた中央を固める守備ブロックの前にボールタッチ数は減り、ゴール前ではほとんどボールに触ることが出来なかった。それでもメッシの存在感は大きく、PKを決めたりファールを受けたりと、パリにとって最大の脅威になる選手だった。
FWスアレス(10)★
貪欲と言えばこのスアレスで、ゴールや勝利に対して少年のようにその感情を隠すことなく前面に押し出し、試合終盤のPKを誘発させた。先制点もチームに勢いをつけるゴールとなり、最前線で戦う姿はチームをどんどん前に押し上げ、チームに勢いをつけた選手だった。
MFアルダ(10)★
怪我明けでのいきなりの出場だったが良いパフォーマンスで、アルダらしいいキープ力あるプレーと動き出しでいくつかの見せ場を作った。ここからこのアルダが復帰すると、さらにローテーション出来てチームは楽になる。
MFセルジ・ロベルト(10)★
最後の逆転となる決勝ゴールを決め、バルセロナの歴史にその名前を確実に刻み込んだ。ルイス・エンリケが少し前に「セルジ・ロベルトに対する唯一の不満点は得点だけ」と語っていたが、中盤起用でその得点が生まれてバルセロナの奇跡の大逆転劇に貢献した。スタメン出場と思っていたが途中出場でも結果を残してくれて、今日一番のラッキーボーイだった。
MFアンドレ・ゴメス(10)★
右でプレーし出場時間が短いこともあり、選手個人としてはインパクトはなかった。しかしルイス・エンリケのこの交代策が、セットプレーなどの高さで活きたのかもしれない。ゴメスもチームの勢いと共にまた良いプレーをしてほしい。
最後に一言
“奇跡”としか言いようがない大逆転劇をバルセロナは演じ、CL優勝へ一歩足を進めた。
今日の試合は確実に数年後、数十年後、100年後にも語られる大逆転劇であり、CLにおける大逆転というよりも、21世紀サッカー界最大の大逆転の勝利と語り続けられるだろう。
今日の試合は「カンプノウの奇跡」と言えるが、Twitterの誰かのつぶやきをパクらしてもらって「ルイス・エンリケの奇跡」としてバルサファンの記憶に残ってくれれば。
そしてこの勢いにのって、今シーズンのバルセロナの3冠獲得が見えてきた。次の試合と言いたいけど、まずは今日だけこの試合の大逆転劇を祝おう( ̄▽ ̄)
最後にパリの選手達やウナイ・エメリ監督も同じピッチ上で戦った素晴らしい対戦相手で、パリ・サンジェルマンというチームに拍手を。個人的にウナイ・エメリ監督が好きなので、最後のウナイ・エメリの表情と目を抑える仕草にグッときた(+_+)
タグ:チャンピオンズリーグ, パリ・サンジェルマン, 試合結果, 試合評価
「ルイス・エンリケの奇跡」最高ですね。ベップ比し評価されにくい監督なのでぜひ定着するとよいですね。
セルタ戦、パリ戦を見直してふと思ったのですが、進むバルサ対策を破るポイントは、メッシのスタート位置を変えるかもしれませんね。
新しいメッシのポジションを確立した監督(ベップ 偽9番、エンリケ 偽エストモーレ)が美酒を飲むことになるのかもしれません。
今回のメディアプンタへの変更が、きちんと機能し続けるとよいですね。ポイントはメッシのスペースを作る役割(縦と横)、メッシの守備負担のカバーです。
一晩経っても思い出すと興奮が蘇ります。
個人的には1点目が運命を分けた気がします。
あの早い時間帯の1点目がなければ、奇跡は起きなかったのかもしれない。
以前ああいうのがノーゴールの判定を受けましたし。
2点目も大きかったですね。
オウンでしたが、イニエスタの執念で入ったと感じました。
カヴァー二のゴールの後の嫌な雰囲気を払拭してくれたネイマールにも感謝です。
奇跡に感動しました。
攻撃面ではあまり見るものはありませんでしたが、相手のカウンターをことごとく潰したのが大きいですね。
343ならSBの問題も解決しますし、メッシとイニエスタも代えが効いて、何よりロベルトとラフィーニャが一段と存在感を増した印象です。
このまま下手な自陣での守備に逃げずにコンパクトなサッカーをやり遂げてほしいです。
アウウェーゴール取られたときは正直終わったと思ってしまいました・・・
本当に奇跡としか言いようがないですね!ボール保持率は確かに高かったけど、なかなか崩せずにチャンスを作れなかったのに6点!
バルサ最高!おめでとう!