17/18リーガ第19節 1/14 レアル・ソシエダ対バルセロナ 試合結果・評価
■ 目次
時間帯別試合支配率
※赤色はバルセロナ、白色は互角、黒色はレアル・ソシエダ
・バルセロナ5分、レアル・ソシエダ15分、互角70分
試合開始直後から100%以上の力で試合に入ってきたソシエダに試合の主導権は握られ、前半は完全にソシエダの試合。その中で1対2という1点ビハインドで前半の45分間を終えれたことは、まだ後半に希望を持たせるものになった。
後半はソシエダの出足が遅くなり、局面で勝てなかったバルサの勝つ機会が多くなり、どちらかといえばバルサペースで試合は進んでいった。試合の主導権だけで見れば、90分を通してこの試合はソシエダ寄り。
しかし、結果を大きく左右したのはバルセロナのスアレスとメッシという圧倒的な個の存在であり、中盤で勝ったソシエダですが、お互いのFWとDFの対決も加味すれば、バルサの勝利に傾くべき試合だったのかもしれません。
試合はとてもコンパクトなチーム同士の対決で面白い試合だったのですが、改めて個の力の重要性を感じさせる試合だった。
試合での課題点
・中盤の中央の守備を何度も崩された
ラキティッチが前にプレスをかけにいった後方をブスケツ1人で守っているが、そこで数的不利、さらにブスケツの横のスペースに何度も入られて、ソシエダに中盤を何度も突破された。横幅をうまく使うソシエダのパス回しに中盤を広げられ、中盤で主導権を握られてしまった。
・逆サイドの数的有利と裏への飛び出し
ソシエダのエウゼビオ監督はバルセロナを熟知しているだけに、上記のパス回しのほかに、逆サイドでの数的有利、裏への飛び出しというバルサにとって嫌な攻撃を実践してきた。逆サイドでの数的有利は1失点目、裏への飛び出しは2失点目と、ソシエダのやりたい攻撃からバルサはしっかりと失点をしてしまった。
試合での良好点
・最後まで足を止めずに闘って、誇らしいバルセロナの選手達
今日のアノエタでのソシエダの戦いぶりは、勇敢で足が止まらずに普通にすごい。それでもバルサの選手もそれに負けないくらい走って闘っており、中盤対決で負けても試合の主導権で負けても、それを超えて喜びを感じられる試合だった。アノエタでのリーグ戦では久しぶりの勝利とは別に、今日のバルサの選手たちの戦いぶりは本当に誇らしかった。
監督選手評価・採点
※()の中の数字は選手評価点。6が平均で1が悪く10が最高点。★はMOMの選手。
監督エルネスト・バルベルデ(7)
スタメンにバルサの中盤でパワフルな4人を揃えて、今日の激闘を試合前から予感していたバルベルデ監督。試合内容は決して褒められたものではなかったが、最後に勝利で終えれたことが素晴らしかった。
ソシエダに中盤を制圧されたが、バルベルデ監督の頭の中ではおそらく、
4-3-1-2の陣形にしたらクロスボール時に逆サイドでフリーを作られ、ゴール前で危険な状況が増えることから、ある程度中盤を突破されても最終ラインの4人と最後の砦のシュテーゲンのセービングを信じ、中盤よりもゴール前の守備を優先すべきというのがあったのかなと思います。
今日のソシエダの攻撃ならバルサが4-5-1の陣形にすれば止めることは可能だったと思いますが、スアレスとメッシを起用していることからこの陣形は難しかった。良い形でボールを奪えればスアレスとメッシの速攻も出やすいし、4-4-2を維持して戦ったと推測。
バルベルデ監督になってから初めて今日の試合は解決策が見つからない試合だったように感じられ、バルベルデ監督の修正のかかる後半になっても、そこまで大きな動きがなかったのはそういうことかなと思います。一か八かの戦いのように思いますが、「バルベルデ監督が選手を信じきった勝利」だったように感じます。
GKシュテーゲン(7)
2失点ともGKとしてはノーチャンスで、それ以外のプレーでは安定感をみせていた。今シーズンは驚異的なセービングが取り上げられるが、足元のプレーの判断が格段に良くなってきている。
DFセルジ・ロベルト(8)
バルサの同点ゴールを生んだのはセルジ・ロベルトのドリブルからだった。攻守において激しいプレーで戦い、今日も見事なパフォーマンスだった。苦しい試合の中でも攻撃でしっかりと結果を出し、セルジ・ロベルトの右SBがこれから重要な試合で違いを作ることになりそう。
DFピケ(7)
ウィリアム・ジョゼの対応に苦しみ、右サイドに釣り出された時の対応はやはり見ていて怖い。しかしゴール前の中央でのクロスボールに対するクリアはとても頼りになり、ゴール前の守備はピケがいなくては困る存在と改めて感じさせた。ラインコントロールの押し上げも良く、全体を通せば良かった。最後のスライディングは全くいらないイエローだったけど。
DFベルマーレン(8)
ゴール前でのシュートブロック、相手FWとの1対1の勝負で何度も勝ち、安定感というよりも最終ラインで違いを感じさせるパフォーマンスを見せた。試合に出続けることで試合勘が戻ってきたのか、読みの鋭さが増してミスも少なくなってきた。ジェリー・ミナとの3番手のCB争いは、このシーズン後半戦は面白くなりそうだ。
DFアルバ(8)
得点にこそつながらなかったが左サイドを何度も駆け上がりチャンスを作り、今日も攻撃面で左SBとして違いを作っていた。今日は攻撃よりも守備でのハードワークが多くなり、体力に自信があるアルバでも試合終盤に疲労が顔から見てとれた。それでも最後まで足を止めずに左サイドを守り、そのハードワークは素晴らしかった。
MFパウリーニョ(7)65分OUT
バルサの1失点目はパウリーニョの守備の甘さがでた典型的な失点だった。しかしそれをパウリーニョ自身が感じたのか、それ以降は右サイドにフリーの選手を全く作られないようにしっかり戻って守備をしていた。守備でしっかりと修正をみせ、攻撃では前半終盤に逆転の希望につながる1ゴールを決めて、とても助かった。またビルドアップ時にパウリーニョの足元に入れる機会が多く、そこに絡む選手がおらずボールロストする機会こそ増えたが、しっかりと足元に収めてパウリーニョが中盤にいる役割はしっかり果たしていた。
MFラキティッチ(7)
中盤の中央を何度も破られたが、ラキティッチのハードワークは今日も健在で頭が上がらない。前半は右サイドに何度も質の高いロングパスを通しており、バルサの数少ない攻撃をしっかりと演出していた。
MFブスケツ(7)
自分の横のスペースに入られ何度も苦しめられ、自分がついていくと中央を開けてしまって対応は難しいものになった。最後はハードワークと球際での激しさでカバーしたように思え、今日のブスケツは戦術面よりも頑張りが光った試合だった。パスを出そうとしてブスケツがボールを長く持つ機会も多くあり、それだけバルサのパス回しがソシエダの守備に抑えられた証拠であった。
MFアンドレ・ゴメス(6)80分OUT
攻撃では目立つシーンはほとんどなかったが、同点ゴールとなる場面で左のスアレスをフリーにさせる中央へのフリーランニングはよかった。ゴメスは自分が活きることだけでなく周りが活きるランニングもできればなお良しで、効果的なランニング回数を増やすことがこれからの課題。守備面では一切さぼらずしっかりと戻って守備をしており、ゴメス起用自体は攻撃面よりも守備面で活きていた。
FWメッシ(8)
前半にほとんど存在感がなかったが、後半に入ると良い状況でボールを触る機会が多くなり、そこでしっかりと得点を演出した。1ゴール1アシストだったが後半はそれ以上の存在感をみせ、バルサの攻撃を引っ張るさすがのメッシだった。今日はバルサのボール保持率も低く、前半から守備面で走る機会が多くなったが、チームの試合内容を察して守備面でも貢献してくれたことには感謝。
FWスアレス(10)★90分OUT
今日の間違いなく完璧なMOMの活躍ぶりだった。苦しい試合の中、バルサの最前線で何度もボールを収め、さらに裏の抜け出しからも得点を演出した。2ゴール1アシストだけでなく同点ゴールはとてもビューティフルゴールであり、勝ち越しゴールもしっかりと決めてくれた。この言葉をいつ使うか迷っていましたが、「バルサファンが待ち望んでいた本来のスアレスが戻ってきた」と言い切っていいでしょう。前回の試合ではこのスアレスなら1試合1得点以上が期待できると書きましたが、今のスアレスならアシスト込みで1試合1.5得点以上は活躍する気がします。
FWデンベレ(5)65分IN
今日は悪い意味でKY(空気の読めない)の選手だった。デンベレ投入の意味は速攻時やスペースがあればデンベレの突破力でチャンスメイクだったが、そういう機会は少なく終わってみれば守備に追われることになった。その中でデンベレの守備はチームの闘う雰囲気とは違った軽く緩い守備であり、本来なら途中出場を考えたらプレッシングや相手の寄せなどもっと激しく守備をしなければいけなかった。途中出場で試合に入りきれなかった選手と言えるでしょうが、まだ若いのでこれもいい経験と思って少しずつ修正していってくれれば。
DFディニュ(7)80分IN
デンベレとは対照的に、ラスト10分間の試合の出場ながらしっかりと守備面で仕事をしたのがディニュ。アルバの負担を少し軽減させ、激しいタックルや鋭い寄せで左サイドの守備を強化していた。
MFデニス・スアレス(6)90分IN
ほとんど出場時間がなく、採点自体難しかった。それでも途中出場なら、もっと積極的にボールを追い回しても良かったかなと感じた。
試合結果
レアル・ソシエダ2対バルセロナ4
得点者
11分ウィリアム・ジョゼ[レ]
34分フアンミ[レ]
39分パウリーニョ(スアレス)
50分スアレス(メッシ)
71分スアレス
85分メッシ
最後に一言
苦手とするアノエタでの勝利は格別のものとなりました。これでリーガの前半戦である19試合を終えて、バルセロナは16勝3分けと、スーペル・コパ敗戦時にこれを予想していたら、鼻で笑われていたであろう素晴らしい結果となりました。(まだ時期的に言いたくありませんが、ほぼリーガ優勝は決定ですかね^^)
バルベルデバルサになって良いところも悪いところもあるように感じますが、おおむね良いところが多いのでバルベルデ監督就任は正解だったのかもしれませんね。
次は国王杯でエスパニョールとのカタルーニャダービーとなり、こちらも相変わらずの激しさが予想され、次もしっかりと応援していきましょう。
今日の勝利はバルサファンは大きく騒いでいいでしょう。法律を守って周りに迷惑のかからない程度にですが。
ロベルトは相手チームに狙い撃ちされることが多くなってきましたね。
その一方で得意のドリブル突破で同点弾を演出したのですから悩ましいところです。
アザールとのミスマッチが予想されるチェルシー戦は期待半分、不安半分です。