《質問》スアレスの不調の原因はコンディション不良?戦術的な理由?

コメント欄に質問があったので回答したいと思います。

『ルイス・スアレスの「不調」に関して質問です。

疲労などによる個人的な理由と、新監督になって戦い方の変化に伴う役割変更による戦術的な理由と、どちらの要因のインパクトが強いとお考えでしょうか。

私の中では後者の影響が強いように感じています。

1、スアレスは「スペースを必要とする選手」だが、ポゼッションを重視するスタイルへの回帰に伴い、利用できるスペースが減ってしまった。

2、右サイドに偏る変則的なシステムに変わり、味方選手との距離が以前より開き、中央で孤立することが増えた。

3、それにもかかわらず、前線の中央付近でのポストプレイの役割を求められているため、「不調」に陥っている。

以上のような要因を考えているのですが、自分の判断にあまり自信がありません。

質問への回答、よろしくお願いいたします。』

貴重なコメントありがとうございます。

コメント欄は記事の下にあります。質問や疑問点だけでなく思ったことなど何でも書いて頂けるとありがたいです。

 

見解・回答

1で「スアレスの不調の原因はコンディション不良?戦術的理由?」

2で「質問者さんの1~3の戦術的理由について」

について書いています。

 

1、スアレスの不調は見るポイントで要因が変わる

まずスアレスの不調の原因ですが、これは何を見てスアレスの不調と言っているかで原因が違うと思っています。

自分が試合評価の記事でスアレスに悪い評価を付けていたのは、スアレスのレベルからしたらこのイージーミスの連続はあり得ないだろうと思って悪い評価をつけていました。

つまり自分がスアレスに対しての不調の原因として考えていたことは、足の怪我含めてコンディションが悪いと思ったので、スアレス自身のコンディション不良と判断しています。

 

今回の質問者さんはそれとは違い、スアレスが試合全体でプレーに絡めずにシュートチャンスも少なく、スアレスらしいプレーが出ていないということだと解釈しています。

そういう目線なら確かに戦術的な理由が原因です。質問の中で書いてくれた上記の1~3の戦術理由の洞察力は素晴らしいと思います。

バルベルデバルサになってからスアレスの得点もシュートチャンスも減ってきて、確かにエンリケバルサの時に比べてスアレスの良さは出ていないのが現状です。

スアレスの不調はコンディションと戦術的な理由と両方の側面が原因だと思っていますが、どちらの影響が強いかと聞かれれば、コンディション不良だと思っています。

そもそもスアレスは不調というほど終始悪いプレーというわけではないと思っていますし、この不調と呼ばれているのもここから数試合で回復して、スアレスらしいプレーは戻ってくると思っています。

コンディションの方は怪我を含めて休みを与えられて回復し、戦術的な方はここから下で書きますが、バルベルデバルサの戦いがさらに良くなることである程度改善されると考えています。

 

2、チームの戦いが良くなることでスアレスも活きる!

いつもは戦術的なことも自分で全て書いていたのですが、今回は質問者さんの洞察力も良いということで、質問者さんの1~3の戦術理由に沿って考えていきます。

 

>1、スアレスは「スペースを必要とする選手」だが、ポゼッションを重視するスタイルへの回帰に伴い、利用できるスペースが減ってしまった。

スアレスはスペースがあればより活きる選手なのは確かですが、ポゼッションスタイルへの回帰によって利用できるスペースが減って、良いプレーができなくなったというのは少し疑わしいと思っています。

エンリケバルサもポゼッションスタイルで基本的にはプレーしていましたし、特にエンリケバルサ1年目は普通のポゼッションスタイルだったと思います。

加入当初こそ活躍は少なかったですが、メッシが右に位置してスアレスを中央に位置することでスアレスにはあまりスペースがなくても、活躍していたと思います。

 

>2、右サイドに偏る変則的なシステムに変わり、味方選手との距離が以前より開き、中央で孤立することが増えた。

ここがスアレスの不調の戦術的な理由の肝だと考えています。右サイドに偏る変則的なシステムは問題ではないと思いますが、味方選手との距離が開いて前線の中央付近で孤立していることが最大の原因だと思っています。

このスアレスが前線で孤立していることはシステムというよりも、バルセロナがハーフライン付近から前にボールを運ぶことに苦労していることが原因でしょう。

対戦相手の中央を絞ったコンパクトな守備の前では、スアレスの所までボールを持っていくことは困難で、現状のバルサはボールポゼッションこそしていますがボールが前(相手にとって危険なエリア)に入りません。

言うなれば効果的な攻撃が少なく、ボールを持たされている時間が長いのが現状です。バルサは相手の守備ブロックの外でボールを受ける選手が多く、相手の嫌なところでボールを受けているのがほぼメッシ1人というのも問題です。

あの密集地帯でボールを受けれる選手自体がそもそも世界的に少なく、現在のバルサではメッシ以外ならイニエスタくらいでしょうか。

この密集地帯のエリアでデニス・スアレスや怪我から回復したラフィーニャがメッシと共にプレーに絡めればいいのですが、まだイニエスタしか確証を持てる選手がいないというのは課題ですね。

つまりスアレスの不調の戦術的な理由でウェイトを占めているのは、ボールをスアレスのいる前線まで運べていないために、スアレスが前線で孤立して試合の中で消えてしまうことだと思っています。

 

>3、それにもかかわらず、前線の中央付近でのポストプレイの役割を求められているため、「不調」に陥っている。

そうですね。バルベルデバルサではスアレスはよりポストプレーの役割が求められているように思えます。

その役割が悪いとは思いませんが、このポストプレーでスアレスのプレーが現状とても雑なのが見ていて苦しいところです。ここはコンディションの問題だと思っているのですが。

そしてポストプレーが中央付近だけでなく、中央からサイドに流れてポストプレーすることでゴールから遠のき、最後のフィニッシュの時に絡めないのも問題だと思っています。

いつかの会見でバルベルデ監督が「スアレスは中央で相手のゴールに近い位置でプレーしてほしい」みたいなことを言っていましたが、サイドに流れてのポストプレーはゴールから遠くなってスアレスの怖さは半減だと思います。

前線の中央でずっと張り付けということでもないのですが、ここで現状のバルサがボールを前に運べないことによって、スアレスが攻撃の起点やチャンスメイクをしようとサイドに流れてポストプレーをしていることが、確かにスアレス自身の活躍を減らし、良さも出なくなっているのだと思います。

 

今回のスアレスの不調を考えるに、コンディション面はスアレス自身というか休みで回復すると考え、戦術的な理由についてはスアレスというよりも、チームの戦いがまだ未熟でスアレスを活かしきれていないということが課題だと思っています。

バルサが縦パスをガンガン通したり、サイドをえぐる攻撃などで敵陣地深い位置でプレーすれば、スアレスがゴール前で絡む機会は多くなり、スアレスの活躍も自ずと増えて大丈夫と考えています。

ネイマールがいる時はメッシとネイマールの2人で強引にでもボールを前に運んでいたのでスアレス自身も前線の仕事に集中できた感じですが、今のスアレスはチャンスメイクの仕事までしようとして少し悪い方向にいっているのかなと思います。

スアレスはそこまで器用な選手ではありませんし、ドリブルで突破できる選手というわけでもないので、自分ができるプレーでチームに貢献することに集中してほしいところです。

その為にもバルベルデバルサがチームとしてボールをスアレスの所まで運べば、スアレスは得点に絡んだ仕事をしっかりしてくれると思います。

チームがボールを前に運ぶことも少しずつ良くなってきていて、あと数試合もすれば今よりも多く前に運べると思っています。ペップバルサの良い時と比べたらダメですよ^^

ヘタフェ戦はピッチの状態がさすがに悪すぎたので、この試合は例外と捉えておくことが良いと思っています。

 
 

5 Responses to “《質問》スアレスの不調の原因はコンディション不良?戦術的な理由?”

  1. プラッシー より:

    私もコンディション不良の影響が大きいと思います。バルサだけでなく、ウルグアイ代表でもボールロストが結構目立っていましたし。

    ケンジさんのご回答の通り、今のスアレスはかなり低い位置でボールを受けにいったり、サイドに流れています。スアレスはドリブル、精密なパスで活躍する選手ではないし、PA付近でなければスアレスの長所が半減するのではないかなと私も思います。
    そのためにも中盤、ウイングがより前線にボールを運べるようになってほしいと思う次第です。

  2. ピク爺 より:

    説得的な回答、ありがとうございます。

  3. ao より:

    最近の試合では、相手チームがメッシにマンマークをつけることが非常に多くなっています。それは、ネイマールがいなくなったことにより、攻撃の際メッシを経由する割合がより高くなったからだと思います。
    メッシを経由しない、ないしメッシを囮にして攻撃する形として、この前の試合であったパウリーニョの前線への飛び出しは1つの有効な攻撃パターンとなると思います。
    ただ、それだけでは足りないと自分は思います。主さんは、他に何かメッシを極力経由しない攻撃パターンの候補として思い浮かぶものはありますか?

  4. レト より:

    スアレスは左右非対称の戦術の損な役回りを任されている印象が強いですね。
    これまでと違い左サイドが不在なのでサポートを得られず相手のマークが集中しマトモに前を向けなくなっているというか。
    ヘタフェ戦では2得点とも逆にスアレスがマークを引きつけることで空いたスペースから得点が生まれているわけですが、ヘタフェ戦のイラだったプレーを見る限りそのような損な役目に少なからず不満を抱いているのではないかと不安になります。

    前半の采配に見られたように左サイドにも選手を配置する戦術の方がスアレスの負担は減ると思います。
    というか、今のチームはメッシやスアレスやアルバへの負担が大きいのでそういった負担軽減策をとらないとまた次の離脱者が出そうで怖いです。

  5. しろ より:

    あそこまでロストするのは、戦術よりもやっぱりコンディションでしょうね。
    逆にフリーキックはスアレスに任せて見てもいいような気がします。
    最近メッシ全く決めれてないし・・

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