《質問》ベテラン選手と若手選手、切り替える(世代交代)タイミングは?

コメント欄に質問があったので回答したいと思います。

「茶飲みばーさん」より

「2、ベテラン選手と若手 切り替えるタイミングについて

一応私なりの意見もつけておきます。

2 シャビやアウベスを見ていると、平均してパフォーマンスが落ちるのではなく水準以上のパフォーマンスを示せる試合数が減っていく形で衰えていくように思います(原因はケガ、疲労回復、モチベーション等様々ですが)。本人がバックアッパーの立場(処遇を含む)を受け入れられるか、チームが限られた試合出場のためにスタッツに入れられるかが判断ポイントでしょうか」(コメント多少修正)

見解・回答

・ベテラン選手の衰退について

ベテラン選手の衰退ですが、フィジカル的に衰えてスピード感や体の切れがなくなることが1番大きいと思います。シャビで言えばターンや切り返しのスピード感が鈍くなっていました。これにはコンディション調整の難しさもあって、ベテラン選手になると限られた試合の出場時間だと思った以上にコンディションが上がってこないということがあるのでしょう。

シャビの最後のシーズンで前半戦のシャビのプレーはそこまで良いものではなく、それは出場機会がラキティッチに奪われたことでコンディションが上がらなかったことや試合勘の不足が大きく影響していたのでしょう。イニエスタが怪我をしてシャビが連続で長い時間試合に出場すると数試合後にはシャビのプレーが目に見えて良くなったので、ベテラン選手になるとある程度試合に出場しないと高いパフォーマンスを維持するだけのコンディションまで上がりにくい選手もいるのでしょう。アドリアーノなんかもそういった選手だと思います。

そして体の回復は確実に遅くなって、週2試合ペースの連戦に耐えられるだけの体ではなくなって休まなければいけない状況が増えてくるでしょう。出場時間を制限することはベテラン選手にとっては重要なことになり、高いパフォーマンスを維持する試合数を増やすのなら休む時間を作ってよいバランスを見つけていくというのが重要だと思います。

ベテランの選手域になっても技術面で衰えたり、頭の回転で遅くなるということはないと思います。何よりも体が自分の頭で思っている以上についてこなくなり、今までと同じようなスピード感覚でのプレーは困難になるでしょう。ベテランの選手域になっても活躍している選手は、例外なく頭を自分の体に寄せて考えてプレーしているように思います。

サッカーの知識など経験面など頭ではベテランの選手域の方が基本的に優れているので、自分が出来る範囲でそれをプレーに結びつけるのが上手くないと長く活躍するのは難しいと思います。全盛期の頃や良い時のプレーをファンは求めてしまうものですが、ファンも頭を少し切り替えてその選手への見方を変えてあげる必要があるでしょう。

例に出すと現在のバルセロナではイニエスタがそれに該当し、エンリケバルサになって役割が守備的になって持ち味の攻撃面が発揮される回数は減ってきましたが、年齢からくる体の切れは確実に全盛期の時に比べると鈍くなっていると思います。イニエスタが自分からドリブルで仕掛けて崩したり、ワンタッチ目でマークを剥がすシーンは徐々に減ってくると理解し、相手選手がボールを取りに来た時に逆を突いて抜いたりすることだけを期待することが現実的だと思います。全盛期のイニエスタのプレーが頭に残っている人はエンリケバルサになってイニエスタ落ちたなと感じた人で、出来るプレーだったりチーム内での役割が変わってきている中でもイニエスタはイニエスタらしいプレーを見せて、高いパフォーマンスを継続して世界でもトップクラスのレベルのプレーぶりだと思います。イニエスタはこれからローテーションや途中交代し過ぎてコンディションが上がってこないことの方が少し心配。

 

・若手選手への切り替えるタイミングは・・・監督次第

次にベテラン選手から若手選手への世代交代のお話で、切り替えるタイミングは現実問題はその時の監督次第というのが正しいと思います。選手の起用の権限は基本監督にあるものであり、選手達はそれに従うのがサッカー界の基本的な形でしょう。

例としてエンリケバルサになってシャビ→ラキティッチに切り替わった時は、チームの戦い方というか中盤の選手よりも前線の選手中心にチームを作り上げたことが大きかったと思います。今のバルサもそうですがバルサの中盤は前線の選手への中継役だったりセカンドボールを拾ったり、SBの攻め上がったカバーリングなど地味目な仕事に変わったことは間違いないでしょう。その地味目な仕事には運動量だったり球際での競り合い、守備になって深い自陣まで戻って守備することが求められ、それはシャビよりもラキティッチの方が優れているから、シンプルにラキティッチがスタメンとなってファーストチョイスが変わっていったと思います。

そして監督が変わった時に基本的に世代交代は起こりやすく、それはその監督が若手選手を多く使う監督かにもよりますが、単純に監督によって選手の好き嫌いが違うからだと思います。ここでも例を出しますがブスケツはペップ就任とともにトップチームで重宝され出しましたが、バルサファンの多くはトゥーレ・ヤヤをなぜ使わないんだと思った人は多かったでしょう。あの時の実力だけならヤヤの方が上手いのは明らかで、ブスケツ起用を理解できなかったファンは当然の意見だと思います。それでもペップは将来性を見てブスケツを多く起用し、最終的にブスケツが定着しましたね。

ペップの見る目が凄かったと言えるのかもしれませんが、ペップの中では運動量が少ないヤヤよりもカバーリングエリアが広いブスケツの方が好きだったのかもしれません。今でもあの時にヤヤよりもブスケツを起用した理由は完全に明らかになっていないと思いますが、ペップの中では将来性と選手のタイプ的に中盤のアンカーにはブスケツの方がしっくり来たのでしょう。もし自分があの時バルサの監督だったら間違いなくヤヤを重宝していたでしょうが( ̄▽ ̄)

ブスケツの場合は世代交代の成功パターンでしたが、世代交代に失敗して迷走することも珍しくないと思います。暗黒時代のバルサではドリームチーム時代から活躍していた左SBのセルジが移籍してから左SBの人材に数年困っており、コクーやココやフランク・デブールなど色々試しましたがスタメンに誰も定着しなかった時代もありました。ジオとシルビーニョが来るまでは相当不安定な左SBでしたし、ソリンというアルゼンチンの選手が結構マシだったかなと。この失敗パターンは世代交代の切り替えということではありませんが、世代交代が近いポジションはしっかりと人材を確保しておかなければ危険だよという一例だと思います。

ベテラン選手から若手選手への切り替えというタイミングとしては監督が決断するのがベストなタイミングだと思います。若手にしっかりとした人材がいて、その選手をトップチームで定着させたいと思ったときから少しずつ試合で試して、スタメンでもいけると判断した時が完璧な世代交代のタイミングだと思います。正直ファーストチョイスの切り替えるタイミングにこれといった答えを導き出すのは難しいのかなと思います。

それでも選手の能力面で切り替えるタイミングの1つの基準としては、ベテラン選手に比べて劣ったり欠点がある若手選手でも期待して伸びると思ったときに切り替えるのが一般的なタイミングだと思います。その他には戦い方の変更、システムの変更、戦術の変更によってもベテラン選手ではなく若手選手を使う時があるのかなと思います。監督には若手選手をそこまで使わずに実力面を比較して選手起用する監督もしますし、多少劣っても若手選手を積極的に使う監督もいますし、その監督の基準や好き嫌いで世代交代は進んでいくものだと思います。

 

・監督が全てで選手には少しの幸運が必要

上記にも書きましたが選手の起用の決定権は監督にあるものであり、基本的にスタメンでピッチにたてるのは11人だけしかいないので、監督は外野からあれこれと文句や批判を受けるのは仕方ないものだと思います。監督はそういう批判を上手くかわすというのも1つの仕事と言えるでしょう。

逆に言えば選手達は監督に自分をチョイスしてもらう為にハードワークが求められ、日々真面目に練習してアピールが必要になります。これはベテラン選手も若手選手も同じで、監督がこの選手を使ってみたいなと思わせなければいけないでしょう。

監督には好きなタイプの選手がいるものであり、それは監督が100人いれば100通りあるでしょう。メッシのような決定的な選手ならどの監督でも使うでしょうが、基本的には監督は好きなタイプの選手をスタメンで使うのは普通のことです。ルイス・エンリケにはバルトラはマテューやベルマーレンより使いづらかった選手であり、その為にバルトラのバルサでの道のりは終わりを告げましたね。

自分が監督だったら頭が賢く足元の技術の高い選手を好み、フィジカル面は二の次で攻撃力のある選手をかき集めたいと思うでしょう。そして自分はドリブルを高く評価しているので、ドリブルが出来る選手がスタメンに多く名を連ねることになるでしょう。自分は攻撃力が良い選手と平凡な選手を見極めるポイントだと思っており、守備には特別な力がなくてもそれなりに守れると思っているので攻撃が出来る選手がズラリとスタメンに名を連ねると思います。ペップバルサを見た影響かもしれませんが、中盤の上手い選手を最終ラインでも使うのはごく自然な事かなと思います。何よりも攻撃力を少しでも高めて得点を奪えるチームが強いと自分の中では思っているので、守れても得点が奪えないチームでは勝てないというのが自分の信条です。

これに対して恐らく守備が何よりも重要だと考える人がいたり、技術面よりもフィジカル面が重要だと考える人もいるでしょう。自分の考え方と違う人はたくさんおり技術面が重要だと説得したいとも思わないですし、その人が信じるものがあればそれがその人にとっては正しいと思います。

少し話がそれましたがどんな選手にも自分を起用してくれる監督がいることが重要で、そこは自分のコントロール外なので少しの運の要素が必要だと思います。トッププロになった選手の中でも子供の時にチームで1番上手くても体が小さいというだけで試合に出れなかったという話はよく聞きますし、良い指導者に恵まれるというのも選手には成功するのにとても重要になります。それは大人になっても一緒で、監督次第で試合に出れたり出れずに戦力外になることがあるので、選手には少しの運がないと成功するのは難しいのが現実だと思います。

 
 

3 Responses to “《質問》ベテラン選手と若手選手、切り替える(世代交代)タイミングは?”

  1. 茶飲みばーさん より:

    回答ありがとうございます。世代交代は難しいですね。出場選手を選ぶのは監督ですが、世代交代を期待するバックアッパーを手配するのはフロントの役割です。
    近年のバルサを見ていてシャビ⇒セスクの世代交代がうまくいかなかったことがサイクルの一時的な終わりにつながったように思います。あの当時1試合の出来では、バルサ基準ではシャビ>セスクであったので、世代交代要員として獲得したセスクが結局出場機会の多いバックアッパーとなりましたが、シャビは連戦に耐ええず2月になると彼のパフォーマンスの劣化とともにペースダウンをしていたように見えました(ティトとタタの2シーズンです)。ベストパフォーマンスでなく、コンディションの継続性を重視した早めの世代交代が、シーズンを通したチーム成績の確保に重要ではないかと思っています。中心選手に交代があれば戦術が変わるのは自然で、選手選択と戦術はニワトリと卵のようにどちらが先とは言えないように思います。
    一方能力のある選手を早めにバックアッパーとして世代交代要員として抱えていても、良いタイミングでファーストチョイスになれなければ、伸び悩んでくさらせてしまいます(モントーヤ、バルトラなど)。モントーヤなどは一時はアウベスを超えるか(クラシコ)という時もありましたが、そこからのアウベスの復活が強力でもあり、残念な結果になりました。また順調に成長(適応)した能力の高いバックアッパーであれば、今回のテアの例のようにチームに留めておくのは、何シーズンもは難しい(チアゴやセスク)のが現実です。
    それらを考えると今年度の移籍は興味深いです。アウベス、ブラボのスタメン2名を放出、伸び盛りのバックアッパーにフロント主導で世代交代した形になります。サンチェス⇔スアレス、セスク⇔ラキのような立ち位置の同じ選手の入れ替えではないと思います。
    また獲得選手を見るとメッシ世代(87年組)からネイマール世代(92年組)への世代交代を意識しているように見えます。獲得した選手があたりであればあるほど、チームに留めておくのも難しくなるので、やや早すぎるかもしれません。

    • レト より:

      来季もこのスカッドを維持できるとは思えませんが、
      これだけ若手ならこれまでのように放出時に買い叩かれることもないのでは?

  2. レト より:

    シャビはバルサでのラストシーズンは明らかにプレスが緩くなってましたね。
    個人的にクラシコでの敗戦でイニシャビの終焉を感じました。
    シャビとペドロは変化するバルサには合わなかったのでしょう。

    アウベスやマテューのケースを見る限り、エンリケは不振に陥ったベテランも粘り強く起用する方だと思います。モントーヤやビダルは向上心の問題でしょう。

    今のバルサの中盤はフィジカルタイプが多いので
    カンテラーノが食い込めるとしたら密集地帯でも活躍できるタイプではないでしょうか。

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