《質問》カンテラーノがトップチームに残る為の要素は?
コメント欄に質問があったので回答したいと思います。
『質問です。カンテラーノがトップチームに残る為には、何が必要だと思いますか?
自分は限られた出場機会で結果、良いパフォーマンスを残すことと控えであっても不満を言わないなどの振る舞いが良いこと、運が必要だと思います。
デウロフェウやグリマルドは性格や振る舞いに問題があり、放出されたと聞きます。デウロフェウにオファーを出しているということはそこに問題がなくなったのでしょうか、また戻したいと思わせるパフォーマンスをしているということになりますから、戻ってきてくれば、注目して見たいなと思います。
前線の選手が出てこないのは、トップチームでの出場機会が少ないのが一因だと思いますが、そうはいっても今のトリデンテを外して安定的に出場機会を与えるのは落とすリスクが大きくなる危険もあるし、内容やメンバーより結果が求められる今のバルサの状況では非常に難しい問題だと思います…。
サンドロは活躍していますが、28試合はタイトルの為、固定が自然と多くなる今のバルサではどの控えでも無理でしょう。
この状況は数年ぐらい耐えるしかないのかなと思います…ケンジさんはどう思いますか?
自分としてはレンタル移籍させて成長したら買い戻し、トップチームで1-2年見るという形が最善ではないかと思います。』
貴重なコメントありがとうございます。
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■ 目次
見解・回答
今回の質問者さんはカンテラーノがトップチームに残る要素を「良いパフォーマンスを見せる、控えでも不満を言わない振る舞い、運」と3つ挙げてくれました。
似ている部分はあるのですが、個人的には4つの要素が必要だと思っています。
今回は最近のカンテラーノの代表的な選手ということで、セルジ・ロベルトを例に出して全ての要素を考えています。
1、ポテンシャルと可能性を感じさせるプレー
1つ目は、その選手のポテンシャル、そして成長すればトップチームでも活躍できそうだというプレーを見せる必要があります。
選手個人の“可能性”を見るということで、その選手の分かりやすい活躍だったり数字を見るのではなく、成長した姿がバルセロナでプレーできるレベルであるかというのを自分は重視しなければいけないと思います。
ある程度の実力があるのはもちろんですが、トップチームに上がった段階での活躍はそこまで期待せずに、試合に起用し続ければこの選手は使えるという感覚がないと、トップチームに残るのは難しいでしょう。
セルジ・ロベルトで言えば、中盤でドリブルで持ち上がる姿が特徴的で、前への推進力がありながらトップスピードでのプレーでも精度の高いプレーが出来るというのは、大きな特徴だったはずです。
ドリブルが出来るということで若い頃はイニエスタの後継者とも言われてましたね。パスもつなげるということで成長すればシャビやイニエスタクラスとは思わなくても、バルセロナのトップチームでも十分にやっていけるという感覚があった人は多かったはずです。
2、“僅かな”成長している姿
2つ目は、その選手が成長した姿を見せる必要があります。
若いカンテラーノで、ポテンシャルや可能性がいかにあると起用し続けても、その選手が成長した姿を見せなければ、この選手はもう無理なのかなと思えてしまうものです。
試合ごととは言わず、1シーズンごとや半年ぐらいでもいいので、僅かでもいいから成長した姿を見せてくれれば、起用し続ける価値はあるように思えます。
逆に言えば全く成長した姿を見せない選手を起用することは意味がなく、日頃の練習の中でも僅かに成長し、その成果を試合で少しでも見せてくれれば、トップチームに残る可能性は高いと思います。
セルジ・ロベルトで言えば、11年夏にトップチームに昇格してからペップバルサやティトバルサ時代にはほとんど起用されず、どうなんだろうと思っていました。
しかし、タタ・マルティーノは結構起用してくれほんの少し存在感を見せ、エンリケバルサ1年目のシーズン終盤には中盤のアンカーの位置で良いプレーを見せました。
成長した姿か持っていたポテンシャルが発揮されたのかは分かりませんが、それ以前より確実に良いプレーを見せてくれたのはポジティブな一面となりました。
3、“バルセロナでの成功を願う”強いバルサ愛
3つ目は、バルセロナでの成功を願ってある程度、ベンチ生活を受け入れる強いバルサ愛が必要となります。
バルセロナのカンテラからトップチームに合流できる選手なら、他のクラブからのオファーもあるのは当然で、“選手”としての成功を望み、出場機会を求めて移籍するのは個人的にオススメしません。
バルセロナから離れたらファンは忘れがちになりますし、相当な活躍を見せなければバルサへの復帰は難しいものです。
それよりもバルセロナでベンチに座ってでも我慢強く自分の出場機会を待ち、「バルセロナで良いプレーを見せる=バルセロナのトップチームに残る」ということなので、バルセロナでの成功を目指すならチームに残った方が近道に感じます。
サッカー選手として試合に出れないのは苦しく、若い選手ならメンタル面でも自分を抑えるのは難しいと思いますが、「バルセロナで成功する」という強い意志で、自分をコントロールする必要があります。
セルジ・ロベルトで言えば、試合に数多く出るようになったのはここ2シーズンのことで、それまでの4シーズンはベンチにすら入れない試合も数多くありましたが、バルセロナでの成功を願って練習に励み、僅かなチャンスを掴めた選手です。
強いバルサ愛で選手自身がバルセロナでの成功を願うことは、トップチーム昇格のカンテラーノが、一番初めに持たなければいけない要素だと思います。
4、監督の「起用する」“大きな決断”
4つ目は、選手自身の問題ではありませんが、監督が「起用する」という大きな決断力が必要となります。
選手目線からしたらその時に指揮している監督が自分を起用してくれるかは「運」なのですが、監督の方に若手を使うという意志がなければカンテラーノがトップチームに残る可能性は極めて低くなります。
ファン・ハール監督なんかは若手選手の起用に積極的で、バルセロナではバルデス、プジョル、シャビ、イニエスタをデビューさせてきっかけを作ってくれました。監督の方にも批判覚悟でカンテラーノを起用する強い意志が必要です。
セルジ・ロベルトで言えば、タタ・マルティーノ監督には結構起用されて、バルサBで指導経験があったルイス・エンリケがセルジ・ロベルトを信頼してくれて出場機会を与えてくれました。
最後はセルジ・ロベルト自身が自分のパフォーマンスで、自分のポジションや立ち位置を確保しましたが、ルイス・エンリケが「チームに必要だ!」と言ってくれて自分自身を信頼してくれていたからこそ成功したのでしょう。
そういう意味ではセルジ・ロベルトをトップチームに昇格させてくれたのはペップですが、セルジ・ロベルトを大きく飛躍させたのはルイス・エンリケの「起用する」という決断でした。右SBでの起用というのは驚かされましたが( ̄▽ ̄)
・バルサファンはカンテラーノの昇格を望むなら“我慢”が必要
4つの要素の中では1つ目の選手のポテンシャルと可能性、4つ目の監督の「起用する」という大きな決断が、重要な要素になると考えています。
この2つなしにはカンテラーノがバルセロナのトップチームに残るというのは選手自身の意思だけでなく、クラブとしても難しいと判断するでしょう。
若くトップチームで出場したばかりの選手にはポテンシャルと可能性を見せてもらい、後は監督が継続的に起用してくれれば、カンテラーノ出身の選手というのは自ずと増えてくるはずです。
バルセロナの場合は「勝利」と同時に「試合内容」も求められ、若いカンテラーノがこの2つをもたらしてくれるかと言えば難しいミッションとなり、ある程度バルサファンも我慢して成長を見守る姿勢が必要になります。
ピケはバルサに復帰した初めの3か月ぐらいは不安定でした。イニエスタは2002年にデビューし、少しずつ成長して今のようなトップレベルになるまでには約5年ぐらいかかりました。
最近のバルセロナは勝利を意識しすぎて若手選手を使う余裕がありせんが、選手の成長には時間がかかるので我慢強く見守る必要があるということです。
1年での成功やスタメン定着する選手は本当に少なく、カンテラーノを重宝してほしいと思っている割に、バルサファンは我慢が出来ない人が多いように感じます。
下部の「関連記事」の中に、今のバルセロナの若手の育成環境についても言及しています。時間があったら読んでみてください<(_ _)>
新監督がウンスエだと思ってたので、来シーズンもある程度カンテラにチャンスあるのではと考えてたけど、どうやらウンスエの可能性はほぼ消えたみたいですね。
ネイマールとの騒動とか聞いてると、どの選手にもしっかりと意見を言えるいい監督になりそうかなーと思いましたが、残念
とても参考になりました。自分とまた違った考えを聞けて勉強になりました!
今結果と内容の両立、結果と育成の両立は難しいと思いますが、それでもロベルトのようにレギュラーになれる選手が数年かかっても出てきてほしいですね。ラフィーニャとデニスも辛抱強く頑張ってレギュラーになってくれたらなと思います!