パウリーニョ中央起用がもたらす3つのデメリットと2つの解決策

バルサにとってCL決勝トーナメントの直前となるエイバル戦で、バルセロナは無失点の2対0で勝利を収めました。

一週間の休養で1月2月の連戦による疲労から選手達は回復しているようにみえる戦いぶりで、コンディション面ではとてもポジティブな試合でした。

しかし、試合内容はエイバルに主導権を握られる時間帯もあり、エイバルが10人になるまではお世辞にも、バルサペースで試合は進んでいたとは言えない内容です。

その原因の一つはパウリーニョを中盤の中央で起用していることでした。今回は

1、パウリーニョ中央起用で守備には強度、攻撃で飛び出しという変化をつけるはずなのだが・・・

2、実際は3つのデメリットを生み出すパウリーニョ中央起用

3、ラキティッチの位置を変えて、パウリーニョには守備よりも攻撃に重きを置くべき

について書いています。強豪クラブとの対戦が増えれば、少しの隙や穴から結果は敗戦となるもので、ここがバルベルデバルサの最も目につく弱点という印象です。

 

1、パウリーニョ中央起用で守備には強度、攻撃で飛び出しという変化をつけるはずなのだが・・・

・パウリーニョという選手の特徴

まずパウリーニョという選手の特徴で、パウリーニョの大きな特徴は攻撃面にあります。

バルサ加入前は守備・フィジカル的な選手として活躍が期待されましたが、いざバルサで試合に出場するとパウリーニョの特徴は攻撃面であると判明しました。

攻撃面ではなによりゴール前に入ってくる飛び出しの動きにあり、スペースを見つけてゴール前に侵入してバルサでもゴールを積み重ねています。また、味方にスペースを作る動きもうまいですね。

そしてフィジカルを生かした対人の球際で圧倒的な強さをみせ、ヘディングだけでなく1対1という状況なら体の強さと体の使い方のうまさでボールキープすることもできます。

守備面ではフィジカルを生かした対人の守備に定評があり、球際で強さをみせたり足をのばしてボールを突くことでボール奪取できる選手でもあります。

これらがパウリーニョの良い特徴であり、悪い面はこれから出てきます。

 

・バルベルデはパウリーニョの特徴を生かすための中央起用のはず

バルベルデ監督はパウリーニョの特徴をよく理解している人物であります。バルベルデ監督はこれまでパウリーニョを生かしながら、チームにプラスとなる戦い方を模索してきました。

シーズン前半戦は主にパウリーニョをトップ下と起用し、パウリーニョの攻撃力を生かしました。そして守備のバランスが悪いと考えればパウリーニョを中盤の右サイドに配置を変え、チームのバランスを保ってきました。代表的な試合はクラシコの試合ですね。

このシーズン後半戦になってからバルベルデ監督は、パウリーニョを中盤のフラットの4枚の中央で起用し続けています。

シーズン前半戦でもパウリーニョが途中交代の出場で中央起用というのはありましたが、この起用はまず守備面を考えた起用であり、残り20分間リードを保ちながら追加点を狙う作戦は理にかなっていました。

おそらくバルベルデ監督の中にはこの時のイメージがあり、パウリーニョを中央で起用することでチームの守備が強化され、高さやフィジカルという面でもパウリーニョの存在は頼もしく、さらに攻撃面でのパウリーニョの飛び出しからの得点面などの貢献を期待していると思います。

これらがピッチ上でできていればパウリーニョの中央起用も問題ないのですが、実際はできている面もありますがチームにとってはデメリットの方が多いように感じます。

 

2、実際は3つのデメリットを生み出しているパウリーニョ中央起用

・パウリーニョの守備意識が低く中盤の守備ブロックに穴が開く

まずパウリーニョ中央起用で起きるデメリットの1つ目は、パウリーニョ自身の守備意識が低く守備ブロックの強固さが弱まっていることであります。

4-4-2の中盤フラットの形の中央起用なら、自分よりボールが後ろにあるときは、まず全力ダッシュで自陣に戻って中央の守備を整えなければいけません。

パウリーニョはこの守備意識が低く、自分よりボールが後ろにあってもジョギングペースだったり歩いている状況がよく見られます。

これは後方に戻るだけでなく、左右に中盤の守備ブロックがスライドして守るときのポジションにつくのも遅く、中央のスペースが空いていることもしばしば。

これは完全にパウリーニョの守備に対する考え方が問題であり、チームの戦い方に問題はないところです。

パウリーニョは守備時に背後を意識して守る機会は少なく、首を振って相手のFWやWGの位置を把握していません。

言い方を変えると守備時はボールウォッチャーと呼ばれるボールばかり見て視野が狭くなり、周りの状況を把握しきれていません

人間の視界である180度ならパウリーニョの対人の強い守備力は発揮されますが、今のバルサの中盤の中央の守備では、パウリーニョはカバーする範囲をカバーできていないです。

パウリーニョ自身の意識が守備よりも攻撃にあり、中盤の中央の選手として守備ブロック時に適切なポジショングができないことにより、バルサの守備ブロックに穴ができているといってもよいでしょう。

パウリーニョ自身の意識が守備に重きを置けば守備はしっかりやってくれるのですが、そしたら攻撃で前に出れないので、パウリーニョを生かすという意味ではどうかなと思えるところです。

 

・ビルドアップでパウリーニョの存在はほぼプラスにならない

2つ目は、最終ラインからのビルドアップ時にパウリーニョが中央にいてもチームにプラスの面は少ないです。

パウリーニョは決して足元の技術が高い選手ではありませんし、バルサのパス回しで変化をつけたりアクセントをつけれる選手ではありません。

ポストプレー気味のダイレクトパスはなかなかですが、それは自陣の最終ラインからのビルドアップ時に出すプレーでもないです。

対戦相手が自陣に下がってバルサが敵陣地でプレーできるという、ハーフコートマッチの試合ではパウリーニョのビルドアップ能力の低さというのは表面化しません。

しかし、高い位置からプレッシングをかけてくる対戦相手の場合は、パウリーニョは中盤の中央のボールタッチという面でほぼ何もできません。

できることと言えば周りにスペースを作るための動き出しとなりますが、パウリーニョがスペースを作る動き出しで中央から離脱してしまうと、ボールを失ったときにバルサの守備はダメージを受けやすくなります。

ビルドアップでパウリーニョに期待しているバルサファンは少ないと思いますし、パウリーニョはそこに良さあるわけではないので、バルサのビルドアップ時にチームへの貢献があまり期待できません

エイバル戦はパウリーニョはビルドアップ時にほぼボールに触れていませんでしたし、チームメイトもそれを理解していてパスを送らないのでしょう。

後半になれば前線に入りロングボールを受けるという役割になっており、これによりパウリーニョがゴール前に入る機会も多くなりより生きていましたが。

 

・パウリーニョ自身の特徴も潰してしまっている

3つ目は、パウリーニョという選手の特徴を潰してしまっていることです。

パウリーニョはブスケツやラキティッチのようにできるプレーが多い選手ではありませんし、パウリーニョが持っている武器で戦うからこそ活躍できる選手です。

それが中盤の中央で起用されていることで、パウリーニョの持っている武器を超える役割を任されており、パウリーニョ自身の特徴が出にくくなっています。

おそらくパウリーニョ自身も現在のポジションでプレーしていて、シーズン前半戦のときよりも気持ちよくプレーできていませんし、困惑しているように見られるシーンもあります。

チームのためにその選手の特徴をつぶしてでも、そのポジションで起用するというのは実際アリです。

例でいえば、バルサのCBがいなくなったらブスケツをCBに下げるのはアリです。

なぜなら、ブスケツはCBを任せても安心できる選手ですし、他の選手にCBを任せるよりもブスケツに任せる方が安心でき適任であるからです。

ブスケツを中盤で起用するよりもブスケツ自身の良さは消えてしまいますが、これはチームのためにブスケツがポジションを下げているパターンです。

しかし、パウリーニョの場合はパウリーニョ自身の活躍がダメで、チームとしてもダメという状況であります。両方ダメということで、この起用は正しくないといって断言してもいいでしょう。

パウリーニョを中盤の中央で活躍させる方法はあると思いますが、CLを直前に控えてシーズンも最終局面に入る3月を迎えており、もうチームをテストさせながら進めるという段階ではありません。

バルベルデ監督がプレシーズンからいろいろ試してきた戦術をふるって戦いながら、それでもダメなら新しいオプションを試すというのが定石であります。

そしてバルベルデ監督のいろいろ試してきた戦術のオプションの中で、パウリーニョを中盤の中央で起用するという選択肢よりも、良い選択肢があるからパウリーニョを中央で起用しない方がいいということです。

 

3、ラキティッチの位置を変えて、パウリーニョには守備よりも攻撃に重きを置くべき

・パウリーニョには守備少なめ、攻撃多めの役割で起用すべき

そのバルベルデバルサの良い選択肢の前に、パウリーニョの特徴からパウリーニョにはこの役割とポジションを任せるべきということを書いていきます。

上記のパウリーニョの特徴からパウリーニョは攻撃に重きを置くべき選手で、守備のために起用するなら試合終了間際の時間限定となります。

ずばり守備の負担が多くないながらもチームのために限定的に守備をし、攻撃時には積極的に相手のゴール前に入る役割を任せるべきです。

ポジションでは守備の負担が多くないことから、ポジションを前後で半分に切ったCB、SB、DHのポジションは適任ではなく、SH、OMF、FWが適任ポジションになります。

 

・パウリーニョを右SHで起用して、チームのバランスを保ちながら攻撃力を生かす

パウリーニョの生かす役割とポジションがわかったことで、パウリーニョを生かしながらチームにもプラスになる戦いをバルベルデバルサはもう2つ見つけています。

1つ目はクラシコの試合でも使われた、パウリーニョを右SHとして起用することです。

中央の守備はラキティッチとブスケツがほぼやってくれるので、パウリーニョは守備面で右サイドと中央に絞るという限定的な役割になります。

攻撃ではビルドアップ時にパウリーニョが最終ラインからショートパスを引き出す必要はなく、高い位置からプレッシングをかけてくる相手なら、パウリーニョが前線や右サイドでロングボールを受けるというオプションが増えます。

1対1の状況ならパウリーニョはボールをキープできる実力がありますし、ヘディングなどフィジカル的な要素でもパウリーニョを生かしながらチームのためにもなります。

 

・パウリーニョを4-3-1-2のトップ下で起用して、セカンドボール奪取と攻撃力アップ

2つ目は中盤の形を4-3-1-2にして、パウリーニョをトップ下で起用することです。

守備ではパウリーニョがそこまで下がる必要性がなく、相手のボランチの選手をチェックしたりと前に押し出せる守備ができるのでパウリーニョの特徴ともマッチします。

攻撃ではセカンドボールを拾うという意味でも、パウリーニョがそこでフィジカルを生かしてボールキープすれば助かりますし、何よりカウンター時やメッシがボールを持った時にスペースへのランニング回数が増えます。

チームとしては中盤の守備を3枚でスライドして守るのでラキティッチとブスケツとイニエスタの負担は増えますが、状況によってはパウリーニョが中盤の守備ブロックに入って助ければ対処できるでしょう。

 

対戦相手の特徴によってこの2つのパターンをバルベルデ監督はこれまでの戦いから得ていますし、交代のカードを使わずに中盤の形を変えるだけで対処できるというのもメリットです。

パウリーニョを中盤の中央で起用するよりもこの2パターンの方が、どうみてもバルサは強い気がするのですが、次のCLのチェルシー戦ではどうなることやら。

バルベルデ監督がどういう戦いを選択するかは注目です。もしかしたらパウリーニョを起用せずアンドレ・ゴメス起用という、サプライズをみせてくるのかもしれませんね。

 

・CLチェルシー戦で崩される怖い形がコレ

本当は上のところで終わりだったのですが、CLチェルシー戦も直前なので、パウリーニョを中盤の中央で起用したことで、バルサの考えられる失点シーンについても書きます。

1つ目は、パウリーニョのカバーリングが遅れたスペースにアザールがランニングしてボールを受けて、そこからのフィニッシュや崩しで失点する形です。

2つ目は、パウリーニョのカバーリングが遅れたスペースでセスクなどラストパスを送れる選手からスルーパスを通され、アザールやCFの選手にゴールを許してしまうという形です。

チェルシーの攻撃はアザールを抑えれば半分以上はケアしたようなものなので、アザールをサイドに追いやって2人で対処しながら、アザールになるべくボールを渡さないようにすればバルサのピンチは少なくなるでしょう。

当たり前の話ですが「アザールを止める=チェルシーの攻撃を止める」と考えて守備するべきです。バルサのピケとウムティティのCBコンビ、ラキティッチを中央で起用すればブスケツとラキティッチで中盤の中央は締めましたし、最後の砦であるシュテーゲンもいるのでバルサも簡単には失点しないはずです。

チェルシー戦は1失点してもアウェイでの戦いなので、アウェイゴールを1つ奪っての引き分けで十分ですし。なにより2ndレグのカンプノウの試合で、点差に関係なく勝利すれば勝ち抜けという状況を作りたいですね。

 
 

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