14/15シーズン評価⑳ ジェレミー・マテュー
今回は「14/15シーズンの選手評価、マテュー編」についてのテーマです。シーズン前の期待、その達成感と実績、来シーズンへの期待という3つのテーマで考えていきます。
※点数はシーズンを通した評価の点数。10点満点で、6点を平均点とする。
■ 目次
バルサが待ち望んだ大型ディフェンダーとして期待
マテューは昨夏にバルセロナに加入した。加入した時の年齢が31歳で、高齢なCB獲得にバルサファンは少し満足いく補強ではなかったかもしれない。移籍金も契約解除金の2000万ユーロと高額であり、1000万ユーロでの獲得が妥当と思われた。
しかし、能力面では疑う所はなかった。バレンシアで長く活躍しており、リーガの戦いにも慣れていた。本職自体は左SBで攻撃がメインの気もするが、バルサではCBとしての活躍が期待された。また、バレンシア時代に左サイドで強烈だったアルバとバックラインを組むのも、1つの楽しみではあった。
背が高く(190cm)、スピードがあり、フィジカル的にも強いマテューは、バルサが待ち望んでいたCBの要素を持ち合わせていた。セットプレーでも期待が出来、高さ対策としても重要な意味を持つのは明白であった。マテューにはCBの1人としてだけではなく、時には左SBに入って高さ対策の為に起用されることが期待された。
シーズン開幕ダッシュを引っ張り、シーズン終盤には守備固め、8.5点
マテューはリーガ開幕戦にマスチェラーノと組んでスタメン出場した。スピードがある2人が組んでいるバルサは、カウンターの裏へのボールの対処も完璧に近かった。高さという意味でも、マテューがいれば安心感は大きかった。開幕からのリーガ8試合連続無失点には、新加入のマテューのハイレベルのプレーが必要不可欠であった。
また、前半戦のクラシコまではアドリアーノの状態もあり、左SBとしても起用された。クラシコも高さ対策のためにSBとして出場したが、チームのプレーが悪いこともあってここからマテューのSBとしての起用はほとんどなくなった。SB起用時の水を得た魚のように攻撃しているマテューの姿は、見ていて楽しいものがあったのだが。
前半戦はピケの状態も良くなく、マスチェラーノとマテューのCBコンビがベストであった。マテュー自身も、高いパフォーマンスを見せていた。
後半戦になると少しマテューの時より出るミスが気にはなったが、マテューの面白い面としてポジティブに捉えよう。マテューは目の前のマークに釣られやすい傾向が強く、自分の位置のスペースを空けやすい傾向があった。また、ディフェンスラインを崩す傾向があり、常に少し前目の位置を取っていた。パス回しでも1試合に1回ぐらい、危ないボールロストがあった。バルトラと組んだCBでは共にカバーリングがなく、ラインもガタガタで今季最悪のCBコンビは間違いなかった( ̄▽ ̄)
悪い所に目をつむっても、ルイス・エンリケはマテューの起用にためらうことはなかった。怪我で離脱しているとき以外は、常にローテーションをするCBの3人(他はピケ、マスチェラーノ)のうちの1人であった。
シーズン終盤はピケとマスチェラーノコンビがバルサでは鉄板になっていたが、マテューも多くの試合で途中から起用された。中盤の選手を下げてのピケとのCBコンビは、バルサにしては珍しく迫力があった。マスチェラーノをアンカーに入れることで守備を強化し、バルサは何試合も逃げ切りとカウンターで試合に勝つことに成功した。
マテューはリーガでは28試合に出場し、アウベスに次いでマスチェラーノと並んでの2位の出場数を記録。CBということで攻撃面では持ち味を発揮することは少なかったが、後半戦のクラシコでの先制点となるヘッドは、バルサファンの中に長く記憶されている。シーズンを通せばルイス・エンリケの信頼を保ち、常にバックラインで1つの選択肢としてあり続けた。
来季も楽しませながら強烈なプレーを期待
マテューは悪い部分が見えやすい選手だが、良い部分も見えやすい選手でもある。悪い所は上記で書いたが、良い所は迫力のある攻撃参加、守備を含めた高さ対策、相手FWに対しての強烈なタックル、スピードがあり幅広いスペースをカバーリングなど、やはりバルセロナに必要なCBなのは間違いない。
ミスも含めてマテューなのだから、来季もある程度のミスありきのハイレベルのプレーを期待したい。少しのミスは気にせず、思い切ってプレーしてくれれば活躍は間違いないだろう。そんなミスが少し面白いのだが。
来季はセットプレーの攻撃面でももう少し期待したいのはある。今シーズン途中から攻守のセットプレーは改善されたが、来季はシーズン開幕からセットプレーがバルサの大きな武器として、マテューのゴールに期待したい。攻撃している時のマテューの姿がもう少し見たいというのもあるが、SB起用時は頑張ってほしい。