守備時に南米トリデンテを前線に残すメリット、デメリット
マンチェスター・シティ戦とグラナダ戦で改めて感じさせる、南米トリデンテの前線に残す戦術の守備のほころび。
自陣深くまで押し込まれたときに、中盤の3選手がPA内までしっかり引くことで、PAの周りに大きなスペースが生まれてしまう問題。
今回はそのPA付近のスペースを開けっ放しで起こる問題と、そのスペースをある程度対戦相手に渡してでも南米トリデンテを前線に残すメリットについてのテーマです。
■ 目次
南米トリデンテを前線に残すことで、攻撃と敵に人数をかけさせないメリット!?
まずはメリットからの話で、何といってもカウンターでの得点やチャンスメイクが狙いである。アトレティコ戦でも何回も見せた、対戦相手が前に比重をかけるほど、この3選手のカウンターの威力は増していく。
スペースが多く、相手の人数が少なければ少ないほど単純にカウンターはしやすくなる。特に、バルサの前線の南米トリデンテはスピード、ドリブル、動き出し、裏への飛び出しも優秀であり、何より他のチームより精度が高いプレーができる。これは個人の能力が高いからである。
スペースのない相手より、スペースがある相手の方が対戦しやすいのはもちろんであり、現代のサッカーではどこのチームでも共通認識である。このスペースを相手が潰す前に攻撃することが、南米トリデンテの前線に残す最大のメリットである。
また、もう一つのメリットもある。この3選手が前線に残ることで、対戦相手のサイドバックやボランチの攻撃参加を抑制する効果もある。後ろからの押し上げのない攻撃は人数が少なく、パスコースやパスの限定も楽になり、バルサのプレスがより効果を増す結果になる。
相手が攻撃参加してきたら基本的にはバルサの前線も引かなければならないのだが、そこは駆け引きでなるべく残るという形をとることがルイス・エンリケの戦術では多い。
守備組織と前線の間に大きなスペースが・・・
次はデメリットであり、何度も言っているが押し込まれたときに大きなスペースが生まれてしまう。特に、守備の7人がPA内で守備をしているときは、PAの周りはスペースだらけである。
ネイマールやメッシーが時より戻ってくるが、人数が数的不利ではない限り積極的に守ることはない。
戻らないとどんなことが起こるか考えてみると、そのスペースを相手に使われてしまうだけではなく、何よりセカンドボールが取れないことが大きな致命傷になりそうだ。
グラナダ戦では押し込まれたら、なかなか簡単に相手陣内に押し返すことは困難になり、中盤で相手に主導権を握られてしまった。グラナダのミドルシュートで当たっていたのがハビ・マルケスぐらいだったが、強豪相手ではミドルシュートだけではなく、逆サイドへのサイドチェンジなど、相手の選手に攻撃を伸び伸びされてしまう。
レアルならクロースやモドリッチ、シティならヤヤ・トゥーレなど、絶対に少しでもフリーにさせたくない選手がある程度余裕を持ってプレーできる。
これは恐ろしい事であり、早急に対応してほしい所だが難しい問題になる。バルサの前線の南米トリデンテを最大限に活かすなら、ある程度戻ってこなくてよいとも考えられる。
自分みたいにビビりの性格なら、空いたスペースを埋めるために前線の1枚を戻すことも出来るが、完璧にどちらが正解ということは出来ないテーマである。
現在のルイス・エンリケは前線に3枚残すのを優先しているが、なかなか心臓には悪い部分がある。ある程度のスペースを与えてでも、前線の南米トリデンテに賭けているルイス・エンリケの采配が良い方向に進んでくれれば嬉しい。
また、バルサは何といってもパス回しが上手いチームなので、守備から攻撃に切り替わった時のパスの運びも他のチームより取られる確率が低いことから、カウンターはより発動しやすいのは確かなのだが。
どちらを選んでも確かな正解はないので、ルイス・エンリケは対戦相手やスコアや状況によっては使い分けていくのだろう。