14/15シーズン評価⑲ ダニエウ・アウベス
今回は「14/15シーズンの選手評価、アウベス編」についてのテーマです。シーズン前の期待、その達成感と実績、来シーズンへの期待という3つのテーマで考えていきます。
※点数はシーズンを通した評価の点数。10点満点で、6点を平均点とする。
■ 目次
少し衰えは見せるが、トップクラスの選手の活躍を1年間継続
アウベスは年齢からくるスピードや瞬発力の衰え、クロスの精度が年々下がっている!?というような面はあるが、世界のトップクラスの右SBという評価は変わらない。
その為に1年間を通して大きくレベルを下げずに、怪我なく多くの試合でフルで戦ってほしいというのがシーズン前での期待であった。同ポジションのモントーヤとドウグラスでは心配な点もあった為、やはりアウベスの力が必要だと思われた。
ダメだった時はそれはそれで世代交代のタイミングなのかと感じてはいたが、アウベスの活躍がチームに1番安定感をもたらすのは明白でもあった。身体的な衰えはあったものの、メンタル面では心配なかった。
前半戦と後半戦で対照的な活躍になったが、アウベス不在は考えられない、8点
アウベスはシーズン開幕からルイス・エンリケの信頼を勝ち取ってスタメンで出場した。シーズン序盤こそ問題はなさそうに見えたが、10月に差しかかるころからアウベスのプレーは雲行きが怪しくなっていった。
スピード不足からくる対人の弱さ、カウンター時での走り負け、ボールロストの多さが目立つようになってきた。前半戦の多くをピケと右を組んだが、この不安定さは本当に綱渡り状態であった。バルサは右側を意図的に狙われ、CL第2節でのパリはアウベスを意図的にフリーにもしていた。
それでも負のスパイラルに入っていたアウベスは、その状況でも解決策を見い出せないでいた。前半戦のワーストプレーヤーの1人にも挙げられるパフォーマンスであったアウベスだが、ルイス・エンリケは辛抱強く起用し続けた。多くのバルサファンはモントーヤの起用を希望していたと思うが、ルイス・エンリケは相当頑固な性格であった。
そんなアウベスの安定しないパフォーマンスは改善点をほとんど見せることなく年を明けた。去年までは周りの選手の助けもありチームは勝ってはいたが、右サイドの不安はぬぐえないでいた。
今年に入りメッシとネイマールの好調で快進撃の時期を迎えていたバルセロナは、アウベスの復活へのカウントダウンが始まっているとは誰も気づきはしなかっただろう。メッシの好調と共にアウベスは調子を少しずつ取り戻していた。
2月に入り右サイドのメッシとアウベスの攻撃は、どんどんかつての良い勘を取り戻していった。アウベスのバックパスのミスで失点して敗戦したマラガ戦もあったが、この時にはミス以上にアウベスのプレーは復活してきていた。
3月に入るとアウベスは突如に絶好調ぶりな姿を見せた。これまでの低調なパフォーマンスが嘘かのように、圧倒的な存在でメッシと右サイドを支配した試合が多くなった。この頃にはメッシとアウベスの2人は、3人のディフェンダーでも止められないぐらい阿吽の呼吸での速いプレーが可能になっていた。守備面でも激しさと対人で強さを見せ、前半戦のアウベスとは別人のようであった。
重要な試合が増え始めた3月ごろからシーズン終盤まで、アウベスの絶好調は止まらなかった。シーズン終盤にはアウベスのクロスが神がかり的な精度のクロスになり、バルサの大きな武器になっていた。完璧に穴がなくなったバルセロナは、アウベスの好調と共に3冠獲得に成功した。
アウベスは前半戦を評価するなら2点ぐらいだが、後半戦はほぼ満点に近い活躍を見せた、少し奇妙なシーズンとなった。リーガではDFとして最も多い30試合(29試合にスタメン)に出場し、出場時間も最長の2674分を記録した。ルイス・エンリケが大きく信頼したDFの選手であったことを出場時間で証明した。
来季はシーズン序盤から安定感あるプレーを
来季は今シーズンの後半戦のようなパフォーマンスを継続してほしい。前半戦の不調の原因は全く見当もつかないが、あれの繰り返しは本当に勘弁である。来季は後半戦までドウグラスとの右SBになるが、ドウグラスに使える目処が立っていないのでますます継続的な活躍は期待される。
今季はアウベスの良い面と悪い面がはっきり見れたシーズンであった。コパ・アメリカでブラジル代表はベスト8で敗退したが、良い調子なら緊急招集なのにスタメンでドゥンガに信頼されるレベルであることも証明した。
契約延長問題などでバルサファンを心配させた分、来季はピッチ内での継続的な大活躍に期待。メンタル面は心配ないが、フィジカル面では現在32歳なので、もっと衰えを見せ始めるかもしれないと言う心配な点もある。ビダルが後半戦から入っても、アウベスが好調ならポジションを譲ることはないだろう。