「良い攻撃は良い守備から」と「良い守備も良い攻撃から」
現在のバルサは6試合連続失点中である。昨季のエンリケバルサは守備が結構な鉄壁であり、無失点の試合を何試合も演じてきた。
GKがシュテーゲンになったから、守備陣がボロボロだからなどいろいろ意見はあるだろうが、まず1つ大きく言えるのは良い攻撃が出来ていないことが理由の1つである。
今回は「バルサが良い守備をする為には、良い攻撃が絶対的に必要である」というテーマです。
■ 目次
攻撃と守備は常に連動している
日本に限らず、サッカーでよく聞く言葉の中に「良い攻撃は良い守備から」という言葉がある。その言葉は近年のサッカーでは顕著に表れる部分が多く、速攻、カウンター、ショートカウンターで体現されている。
上記の言葉全てに当てはまるのは良い守備から攻撃につなげる攻撃パターンである。近年は全員守備全員攻撃が当たり前のようになり、全員で引いた相手10人を崩すのはどのチームでも困難になっている。それはバルサとて例外ではなく、ペップ時代からも何度も引いた相手を崩せずに勝利出来なかった試合があった。
良い守備から良い攻撃の逆パターンの「良い攻撃から良い守備」も存在し、バルサはその影響を受けやすいチームでもある。得点を決める為に、バルサは人数をかけて攻撃するチームである。その為に後方に人数は少なく、よりスペースを空けながらの戦い方を実践している。
日本では「攻撃は最後のフィニッシュのシュートまで」と言う言葉もあるが、これは良い攻撃をしている結果だけではなく、守備を助ける意味合いも大きい。シュートまでいくには敵陣地深くまで攻め込んでいることを基本的に意味し、相手がボールを奪っても自分達のゴールまでの距離は遠く、その間に自分達の守備組織を再構築出来ることも意味している。
最近は悪いボールロストが多いための失点が多い
バルセロナは攻守において攻撃的なサッカーを実践するチームであり、攻撃時には全員が攻撃をする為のポジショニングを求められる。パスを回す為に両SBはタッチラインギリギリまで開くことが多く、少々厳しいプレスでもボールを大きく蹴らずにパスをつなげるスタイルを実践している。
スタイルの良し悪しは置いといて、そのパス回しのスタイルを貫く限り一番のリスクは、ボールを失った瞬間のバックラインの間隔が通常のチームより広い事であり、さらにバックラインの後方にもスペースが多いので、DF1人1人が守るスペースが尋常ではないぐらい広いスペースを守らなければいけない。
その為にバルサは前線からのプレスや囲い込みを強化しているチームであり、DF陣が守備のポジショニングを取る意味合いと前線に良いボールを蹴らさない意味合いが大きい。
もちろんボールを素早く奪い返し、速攻や連続の攻撃や相手を押し込む意味合いもあるが、ここでは最終ラインのDFラインに注目していきたい。
しかし、最近のバルサはブスケツやSBや中盤のセントラルでボールを失う機会が多すぎる。自ずと相手は高い位置でボールを奪い返せている為、バルサのゴールにより近い位置から攻撃をできている。
バルサの守備も両SBが開いていたり、中盤のセントラルぐらいでボールを取られると、残るのは中盤のアンカーとCBという3枚の状況が多くなる。自ずと守備の人数は少なく、相手の攻撃を喰らう回数は多くなっている。
大敗したセルタ戦含めそこからのピンチの多くは自分達の低い位置でのボールロストが多いという理由は明らかであり、リーガ開幕からの3試合ではほとんど低い位置でのボールロストがなかった為にピンチは少なかった。ビルバオ、マラガ、アトレティコ戦の全てで、バルサは慎重にパスを回し不用意なボールロストを気を付けたパス回しを見せていた。
良い攻撃とは言わないまでも、守備のリスクを下げる為のパス回しはバルサに出来るだけの力は間違いなくある。守備の改善の1つとして安定したパス回しをまず実行するのが、今のバルサの1番の最優先事項であるように感じる。
ライン間が広く、動きが少ない
今のバルサの最大の悪い所は、間違いなく選手間同士の距離感が遠い。いやむしろ、全てが中途半端になっている。
相手の速攻を恐れるあまりCB2枚は下がり過ぎてボールを受けすぎて、前線までの距離が遠くバルサらしいグラウンダーパスで前線までパスを通せない。SBも不用意なボールロストを恐れて、前にパスを出せずにボールを後ろに戻してばかりである。中盤のセントラルはCBのビルドアップ時に、顔を出せずに長いボールのセカンドボールを狙っているかのようなポジショニングが多い。前線は中盤にスペースを作ってあげようと、相手のバックラインギリギリで待ち構えていて相手の最終ラインを下げようとしているが、バルサの後方から中盤でパスが回せていないので結果として孤立している状態になることが多い。
現在のバルサのパス回しでまず最初に直すべきは、CBのポジショニングである。後方でパスを受ける機会が多く、前へのパスまで距離感があり過ぎる。2歩、いや3歩前に出て攻撃に参加し、リスクは増すかもしれないが攻撃の第1歩目のパスは自分達が出しているという責任の下、中盤の選手や前線にパスを送ってほしい。
次に、中盤でボールを受けられないのも現在のバルサの大きな問題である。特にイニエスタが怪我したことによりさらにボールをキープできる選手がいない今、前線の選手が下がって中盤の組み立てに参加することが求められる。メッシがいればメッシを低めや中央寄りでのプレーも考えれるが、今はネイマールが下がりレヴァークーゼン戦の後半のようにバルサの中盤を厚くすることが重要になる。
システム的には4-3-1-2のような形で、スアレスとムニルかサンドロの2トップ気味にし、ネイマールにはピッチを自由に動いて攻撃させた方が良い。どこでもボールを受けれるようにし、メッシのゼロトップ採用時ではないが神出鬼没に中盤でボールを受けてほしい。
そして最後はチーム全体に言えることだが、全体として動き出しが少ない。相手の選手の間でボールを受けようと動いてはいるが、相手も研究しマークを付いたり前線からのプレスで塞ごうとしているのに、動きが小さくボールの受け方は読まれてる感は強い。
ブスケツというバルサの攻撃の中継地点を意図的に相手は潰しに来ており、それをされたら一気に攻撃に出る為のパスが遮断されてしまった。これはバルサがもう一段上に行く試験みたいなもので、ブスケツのポジショニング含めこれを克服できたら、今期のバルサの攻撃を止めれるチームはほとんどいなくなると考えられるほどの課題である。
最後はこのテーマに戻るが攻撃の改善が守備の改善にもつながるので、ルイス・エンリケにはこの攻撃のパス回しを1段上に上げてほしい。そして、現在のチーム状態は確かに悪いが順位を見てもまだ終わっていないし、スタメンの選手もまだ相手に勝てるだけのメンバーが揃えられるので、この苦しい時期は絶対乗り切れるはずである。