14/15シーズン評価⑩ ルイス・スアレス

今回は「14/15シーズンの選手評価、スアレス編」についてのテーマです。シーズン前の期待、その達成感と実績、来シーズンへの期待という3つのテーマで考えていきます。

※点数はシーズンを通した評価の点数。10点満点で、6点を平均点とする。

エースストライカーの獲得でメッシの負担を減らす

スアレスはブラジルW杯での噛みつき事件でバルサの獲得話もなくなったかとも言われたが、最終的にはバルサは選手のポテンシャルを信じて獲得に至った。移籍金は8000万ユーロ近く、昨夏の一番の目玉補強で間違いなかった。

噛みつき事件の代償としてバルセロナでは、10月終わりのクラシコまでは出場停止処分で公式戦の試合に出場できないが、そこからでもスアレスが加われば大きなメリットがあると考えられた。

プレミアリーグで得点王を獲り、当時の世界最高のストライカーとしてバルサに加入したからには、やはり得点面での期待は大きかった。メッシに偏りやすい得点を、スアレスの得点力でカバーすると共に、さらなる攻撃力アップの相乗効果が期待された。

南米のメッシ、スアレス、ネイマールの各国代表で攻撃の中心である3人が揃い、上手くかみ合えば攻撃の爆発力は世界一で間違いないとも思われた。

スアレスはバルサのストライカーによくある個が死ぬことなく、それでもってチームに馴染むことが期待された。個人能力では間違いない3人が前線に揃うので、スアレスは連携も含めたバルサのサッカーにどれだけ馴染むかで、活躍は大きく左右されると考えられた。

中央に入ることで個とチームのバランスが向上、8.5点

スアレスは上記にも書いたように、前半戦のクラシコがバルサでの公式戦デビューになった。チームは惨敗したものの、スアレス自身は時より良いプレーを見せていた。少しずつ馴染みながら、ここからバルセロナの前線の最強ロードが始めるかと思われたが、初めはチームのバランスを取ることとスアレスがバルサに馴染めなかった。

初めは右での起用が主であり、動きが制限されたスアレスは怖さが半減したといっても過言ではなかった。左右に流れてもプレーできるスアレスだが、右に固定されたことと遠慮もあって、期待された得点の量産には至らなかった。

リーガ第11節のアルメリア戦に後半頭から中央の起用で出場したスアレスは、ここから中央での起用が正しいという活躍を見せ始めた。この試合でチームのリーガ3連敗になりそうな所を2アシストで助けたことが、周りを納得させ始めた。

真ん中でボールを受け攻撃の起点になるスアレスがここから目立った。得点数は伸びなかったが、アシスト数ではどんどん数字が伸びていった。やはりバルサで個のキャラクターを出しながら試合に挑むには時間がかかると感じ、得点という部分では連携が取れだすであろう来季からでも良いかなと個人的には感じていた。

チームが好調になる今年に入ってもネイマールとメッシの得点が伸びるばかりで、スアレスの得点は物足りない感じがした。2月も中ごろに入ると、やっとスアレスのコンディションも完全に戻った感じがあり、体にキレの良さを見せ始めた。その頃ぐらいからスアレスの得点も伸び始めた。

特にゴールの量産を感じさせるポイントとなったのは、CLベスト16のアウェイでのシティ戦の2ゴールであった。大事な試合が続くこのシーズン終盤に、スアレスは得点を量産できるコンディション、連携、個の力の発揮が出来るようになっていた。

そこからのスアレスは重要な試合で得点を奪い続けてきた。CLのパリ戦とユベントス戦、リーガのレアル戦とバレンシア戦など決勝ゴールをいくつも奪った。試合中に流れの中とは全く関係ない個人技からの得点も奪うようになり、スアレスの加入が正しかったと証明された。

スアレス自身の序盤は得点を奪えない数字が残っていたが、終わってみれば全大会で25ゴール(リーガ16得点)を記録。南米トリデンテの破壊力を、中央でゴールと共に攻撃の起点の選手として戦い続けた。

心配な点はないので、得点量産で決めまくれ

来期には今季のようなチームへの馴染み、連携面、バルサのサッカーへの順応、個の力の発揮、試合を離れた試合勘の戻りなど心配な点はほとんどない。むしろ、南米トリデンテの連携がますます向上することが予想される。プレーシーズン初めから練習にも合流し、コンディション面でも良い時期が長く続くことが期待できる。

こうなればスアレスに期待がかかるのは、やはり得点数である。今シーズンの終盤のような活躍を見せれば、シーズン40~50得点は見込めそうだ。具体的な数字を出すのは好きではないが、より多くの得点に期待がかかる。

来季の敵は自分達の心配より、対戦相手の守り方が出てきそうだ。スアレス自身は3冠を獲得してもさらなるタイトル獲得と得点を狙って、ハングリーにシーズン戦えるだろう。対戦相手は南米トリデンテを抑えるために、今季とは守り方を変えてくるかもしれない。

そうすればよりスペースがなくなるであろうスアレスは、その中でも得点を奪う術を見つける必要が出てくる可能性がある。抜け目のないスアレスに目の前の課題を克服するだけの力はあると思うので、それもまた時間の経過と共に得点で破ってくれることを期待したい。どんな状況でも得点面を期待できるスアレスは、来期にも大きく期待がかかる選手の1人である。

 
 

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