14/15シーズン評価⑫ ネイマール・ダ・シウバ
今回は「14/15シーズンの選手評価、ネイマール編」についてのテーマです。シーズン前の期待、その達成感と実績、来シーズンへの期待という3つのテーマで考えていきます。
※点数はシーズンを通した評価の点数。10点満点で、6点を平均点とする。
■ 目次
真価が問われる本当の1年目
ネイマールは約2年前にバルセロナに加入はしていたが、昨シーズンの活躍は年齢からくる若さ、バルセロナへの適応時間、メッシへの遠慮、チームメイトとの連携なども含めて、そこまでの活躍をしなくても大きな責任を問われることはなかった。
しかし、今シーズンはその才能の片鱗を見せないと許されないシーズンであった。ドリブル、パス、シュートなど好きなようにプレーしても昨シーズンは許されたが、今季からはチームの勝利に直結するゴールやアシストの増加が求められた。
また、ドリブル時に1対1の局面を気にしすぎてゴールへの意識を見失う部分もあったので、よりゴールへの意識は求められた。プレー面だけでなくメンタル面でも成長が期待され、無駄なファールや警告を喰らうシーンを減らすことも期待された。
今シーズンからネイマールが欧州の舞台で本当に躍進する1シーズン目となる為に、さらなる成長を見せるのが今季のネイマールの最大の課題であった。将来のバルサのエース候補の為、普通の選手よりも期待は大きくのしかかった。
心身共に成長を見せ、結果も残しほぼ完璧なシーズン、9.5点
今季のバルサでのネイマールは、ブラジルW杯で受けた背中の怪我により出遅れて始まった。8月中ごろでやっとチーム練習をフルにこなせ始め、リーガ開幕から数試合はベンチから途中での試合出場になった。
途中出場ではあったが、ネイマールがチームの攻撃のギアを何速も上げる試合が目立った。体のキレからくるドリブルの速さ、動き出しの上手さ、そしてなによりメッシとの連携が抜群であった。メッシ自身もネイマールがいないとシーズン初めはやりにくい感じも受けられた。
シーズン初めからネイマールは得点を奪いまくった。アシスト役に回っていたメッシのパスを何度も受け、ネイマールがフィニッシュを決めるのがバルサの1つの決まった攻撃パターンになっていた。今シーズンの前半戦のバルサの攻撃は、メッシとネイマールの連携が一番の最大の脅威を見せたといっても過言ではなかった。
スアレスが制裁明けで出場した後も、コンスタントにゴールを決めてチームの勝利に貢献した。今季のネイマールのゴールは、大事な局面でのゴールが多かった。前半戦だけでも敗戦したクラシコ、CLのグループリーグのパリ戦でも先制点や決勝ゴールを決めた。ブラジル代表と同様に、バルサでも大事な場面で決定的な仕事ができる選手に少しずつ成長していた。
今年の頭のソシエダ戦で敗戦してチームの状況が悪くなった1月に、チームを救ったのはネイマールだった。リーガのアトレティコ戦から突如のネイマール無双状態に入った。ドリブルでは止められない存在になり、出場した7試合で7得点を記録し、チームのV字回復の原動力の1選手であった。
2月に入りさすがに調子は落ちゴールから遠ざかる期間もあったが、スアレスやメッシがカバーしてくれたこともあり、あまりネイマールの不調が表面化することなく復調することに成功した。出場時間の調整で途中交代で不満を見せたこともあったが、シーズン終盤に復活する1つのきっかけだったのは間違いなかった。
4月ぐらいまで眠っていた(力をためていた)感もあったが、CLベスト8のパリ戦ぐらいから徐々に復活した。スアレスの股抜きなどが注目されたが、ネイマールは2試合で3得点を記録。準決勝のバイエルン戦でも3得点を記録し、今季のネイマールはバルサでも重要な試合で得点を取れることを証明した。特にCLでのゴールが目立ち、CL制覇に大きく貢献した。
CL決勝のユベントス戦でもダメ押しゴールを記録するなど、CLの得点王になった。メッシとロナウド(レアル)と共に10ゴールを記録。シーズンを通せば39得点を記録し、国王杯でも7ゴールとイアゴ・アスパス(セビージャ)と並び得点王になった。今季のネイマールはやたらトーナメント形式のH&Aに強いイメージがあった。
今季は昨季に比べて成長した部分が多く見られたシーズンになった。体重の増加でフィジカル部分も強化され、心配されたスピードは落ちなかった。ドリブルでも直接的にゴールを目指す機会が多くなり、敵にとっては怖い存在感が増していた。
ネイマールは足元のテクニックに目が行きやすいが、ボールをもらう為の動き出しがとても上手かった。飛び出しを含め動き直しも上手く、警戒されているにもかかわらず何度もディフェンスの背後を取ることに成功していた。
守備面でも速い攻守の切り替えでハイプレスをしており、シーズン終盤は中盤の低い位置でも守備を頑張っていた。前線の中では一番年齢が下が関係しているかは分からないが、守備面で求められることが多かったが、それを着実にこなした。攻撃面で眠っているときは、守備で何度も輝きを見せていた。
メンタル部分でも時より報復に近いファールでイエローを貰う場面が数回はあったが、昨期よりは減っていた。ファールを受けても我慢強くなったし、プレースタイルで少し疑問を持たれているが、良い(大人の)選手へ着実に上がっているように感じさせた。
よりボールに関与してチャンスメイクする
来季に向けては心身共の成長はもちろんだが、特にチャンスメイクの面で向上を希望したい。今季は南米トリデンテの中ではフィニッシャーという存在感でとても良かったが、右のメッシに偏らずに左からのネイマールの攻撃の回数をもっと増やしたい。
今季のメッシのパスを受けてネイマールが決めるシーンの、逆パターンを増やしたいのが最大の目標である。メッシの場合ある程度のスペースがあれば1対1でも個人技で決める力があるので、その状況を作るためにもネイマールにはもっと怖い存在になることが求められる。
メッシ依存のバルセロナを脱却することは出来ないだろうが、スアレスを含めてネイマールにもそれを軽減することが求められる。将来のバルサのエース候補として来季はよりボールを呼び込み、チャンスメイクと得点に期待したい。