中心選手から脇役へ・・・でもチームの為に
昨日の発表で2014年度のバロンドールは宿敵のレアルのロナウドが受賞した。まぁ納得するぐらいの活躍だったので当然の受賞となったわけだが、メッシはノイアーとの接戦を制して2位となった。FIFAのベストイレブンにはバルサからメッシとイニエスタが選ばれた。今回は、選ばれたイニエスタ率いるバルセロナの中盤についてのテーマです。
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派手さはないが実用的で勝利する
前にも記事で書いたが(下の関連記事にあります)、今シーズンのイニエスタのプレースタイルは近年とは全く違っている。テクニックと視野の広さを駆使して、試合を支配している姿は最近では見受けられない。シャビと一緒にプレーしていないこともあるが、今シーズンのバルセロナは悲しいかな、中盤でボールをキープして試合をコントロールしながら、チャンスを作ることはお世辞にも出来ていない。
スアレスが加入したことにより前線に南米トリオ(メッシー、スアレス、ネイマール)の爆発力ある3人が揃い、攻撃の中心はこの3人にシフト変更している。その代表的な試合は前節のアトレティコ戦なわけだが、攻撃のほとんどはこの3人にかかっている。
個人技、ポストプレー、ドリブルなどで縦に一気にスピードを上げて、ショートカウンターにも見える攻撃がこれから先は中心になってくるだろう。これはスアレス加入によってバランスを崩したチームを考えて、ルイス・エンリケがたてた作戦である。
それに伴い、中心でパス回しをしていた中盤の選手達のクリエイティブさを感じることは少ない。特にイニエスタの華麗なボールさばきやドリブルを見る機会は1試合に数回しかない。このことを「イニエスタがもう終わった」と感じてはいけない。バルサファンならイニエスタのプレーを毎試合見ているので、昔ほどではないにしても今でも世界屈指のMFと理解しているはずだ。
他のブスケッツやラキティッチも攻撃より守備で目立つシーンが多くなってきている。ブスケッツはポジション上仕方ない部分はあるが、ラキティッチはシンプルに選手自身の能力を考えれば、守備やチームの為に走ったり体を張ったプレーが求められる。攻撃ではメッシのサポート、2列目からの飛び出し、キックが求められている。
選手の特徴や前線の3選手の個人能力を活かすためにも今のバルサの中盤に求められるのは、ボールを長くキープすることよりも前線の選手にシンプルに数多くボールを送ることになる。
バルサらしくない戦い方であるかもしれないが、今出来る最高の戦い方なのだろう。正直、前線の3選手の個人能力に頼った攻撃は、バルサファンの私的にも求める最高の戦い方ではない。しかし、現在勝つために必要なことならそれを受け入れるしかない。
今シーズンの中盤のベストチョイスは!?
ここからは完全に主観になるが、今シーズンの中盤のベストな3人はブスケッツ、ラキティッチ、イニエスタの3人である。シャビを推す人もいるだろうが、守備では激しさやフィジカル、攻撃では昔ほど試合をコントロールできないと思っているので、スタメン出場はほとんどなくてもいいと思う。それより、試合途中で拮抗したスコアを動かすための途中交代が一番効果的に活きるだろう。
ブスケッツ、ラキティッチ、イニエスタを休ませる場合は、ラフィーニャ、セルジ・ロベルトを積極的に使って良いと思う。若手は試合に使わないと、成長がもう見込めないレベルまで来ていると思う。今年の冬と夏の移籍禁止処分によって、活躍したカンテラ選手が数人は出てきてほしい。
最後にブスケッツ、ラキティッチ、イニエスタの3人の中盤には、ライカールト時代にチャンピオンズを制した時と被る部分が多くあると思う。あの時はシャビが怪我で後半戦が出れないこともあり、スタメンはエジミウソン、ファンボメル、デコだったが、ファンの大多数はいつも途中から出場するイニエスタのスタメンを希望していた。結果的にチャンピオンズやリーグ戦などを優勝することに成功したシーズンだったが、試合の途中で攻撃のギアを上げることが必要だと証明しているシーズンだと思う。スーパーサブとして、ラーションの存在も大きかったが。
今シーズンのシャビにはそんな存在になってほしい。だからスタメンで起用しない。それぐらい割り切ったルイス・エンリケの采配に期待したい。