14/15シーズン評価⑨ アンドレス・イニエスタ
今回は「14/15シーズンの選手評価、イニエスタ編」についてのテーマです。シーズン前の期待、その達成感と実績、来シーズンへの期待という3つのテーマで考えていきます。
※点数はシーズンを通した評価の点数。10点満点で、6点を平均点とする。
■ 目次
一番計算できるセントラルの選手だが、戦うメンタルの復活
長年攻撃でバルサを引っ張ってくれた選手であり、その貢献度はバルサの黄金期に欠かせなかった。年齢を重ねても大きく見劣りはせず、まだまだ世界のトップクラスのセントラルの選手であり続けている。
攻撃面では特に問題はないのだが、守備面では改善が必要だった。昨シーズンのマルティーノ時代のバルサのセントラルのシャビとイニエスタは守備をほとんどせず、チームが押し込まれても後ろの5人で守る機会が多かった。
イニエスタは中盤の球際で体を張ることがほとんどなく、ハイボールに関してはただ見ているシーンが多かった。そのせいもあってアトレティコのような中盤が激しく強い相手では、バルサは中盤争いで負けることは多かった。
シーズン前の期待としては、攻撃面では変わらず違いを見せながら、守備面での改善を含めて戦うメンタルをもう一度復活させることであった。メンタル面の復活だけで、イニエスタは中盤の王様的存在になるのは間違いないように感じられた。
重要な試合では常にスタメンであり、今季の中盤で一番の存在感、9.5点
開幕から例年通りスタメンに定着しながらシーズンは始まった。シャビが欠場することが多く、今シーズンは多くの試合でキャプテンマークを付けて試合を戦うことがあった。
シーズン序盤からイニエスタの役割はいつもと違っていた。今までのように高い位置で対戦相手を混乱させるドリブルやパスは少なく、後方でブスケッツとダブルボランチのようにチームの守備を助けていた。
ラキティッチとの兼ね合いもあり、引く位置でのプレーが目立つようになったが、戦うメンタルが復活していたイニエスタは、少し不慣れのようにも感じる守備面で大きく貢献して見せた。
攻撃面での役割が少なくなっていたイニエスタを衰えたと感じていたら、それは間違いだと断言したい。新しい役割でチームに貢献しているイニエスタの姿にただ慣れていないだけである。
チームの開幕から8試合連続の無失点にも大きく貢献していたイニエスタは、エンリケバルサに必要なバランサーの1人になっていた。前半戦のクラシコの惨敗時に怪我をしたこともあり、そこからはスアレスが加わったこととイニエスタの欠場でチームのバランスは大きく失われた。
イニエスタが復帰してから数週間たった12月中ごろまで、チームはバランスを取るのに苦労した。今年に入ってからのエンリケバルサの快進撃に、イニエスタは常にピッチに立っていたわけではなかった。
シーズン後半戦は国王杯やCLのカップ戦に照準を当てられて、リーグ戦ではベンチに座る機会が多くなった。また、大事を取って途中交代で下げられることが多かったので、イニエスタ自身はもっと出来るという思いは持っていただろう。
30という年齢を重ねたこともあり、ルイス・エンリケは一番ローテーションで気を使った選手であった。怪我や病気で一ヵ月半ほど離脱したこともあったが、リーグ戦では24試合(19試合のスタメン)の出場にとどまり、1632分の出場にとどまった。
しかし、重要な試合では必ずスタメンで出場し、中盤でバランスを取りながら違いを何度も作っていた。バルサの戦い方も主に後半戦から変化したこともあり、今シーズンに限ってはブスケッツより重要な存在になっていた。
チームのバランサーとして後方で支えながら、攻撃の中継役としてバルサの3冠獲得に必要不可欠な存在になった。シーズン前の期待通りに、復活と共に新しいイニエスタの誕生があり、進化が止まらないと感じさせる化け物ぶりの才能を感じさせるシーズンであった。
キャプテンとしてチームを任せたい
シャビの退団もあり、バルサの来シーズンの中盤のメンバーは少ない。前半戦は特に、ベンチにはセルジ・ロベルトとラフィーニャしか座らない状況が続くだろう。イニエスタには怪我のリスクを下げながらも、多くの試合でのスタメン出場に期待がかかる。
中心選手として(恐らく)第一キャプテンとしてチームを引っ張ることも期待される。攻撃面では来季も前線の南米トリデンテが中心になるだろうから、中盤から後方の守備は特にまとめてほしい。
後ろと前線の中継役としてのプレーにも相変わらず期待したい。イニエスタがいないとボール保持で安心する選手がいなくなるので、来季もイニエスタの活躍はタイトル獲得に絶対必要なパーツになるに違いない。年齢を重ねてからのイニエスタのいぶし銀の活躍に、来季のバルサの飛躍はかかっている。