若手育成の環境がないバルセロナ

この前に主要の5大リーグ(イングランド、イタリア、スペイン、ドイツ、フランス)のUー21世代の起用率が発表されたのはご存じだろうか。

バルセロナは1、6%であり、レアルは0、1%であった。トップのチームはモナコの34、6%であった。それぞれチーム状況も置かれる立場も違うが、バルセロナのこの低い数値を決して楽観することは出来ない。

今回は「若手の育成が出来ないバルセロナ」というテーマです。以前の「バルセロナの勝利の異常化」に続いている内容の記事です。下の関連記事にあります。

即戦力しか獲得できない補強選手

最近のバルセロナの補強選手は、即戦力の選手が多い。強さ維持、他クラブからの移籍によるチームへの刺激、チーム強化など重要な部分はあるが、若手の獲得はほとんどない。

獲得してもまずはバルサBで経験を積ませるスタイルを取り入れているが、この作戦がなかなか上手くいかない。他クラブにレンタルに出しても、バルサに帰ってくる選手はほとんどいない。

即戦力の獲得になっている大きな原因としては、なによりバルサファンが今のチーム力が落ちることを極端に嫌う傾向が強い。圧倒的な強さで勝利出来ないと満足できない状態になっている。

ペップバルサの黄金時代の後の後遺症とも言えるほど、あのサッカーを忘れられないバルサファンが多い。リーガの現状の2強時代もあって、勝利しか許せないことが若手獲得の機会を減らしている。また、起用できない状態が続いている。

カンテラから昇格できない新しい時代が来ている

ペップ時代はカンテラの成功のお手本として取り上げられたバルセロナだったが、最近でトップチームに昇格してきた選手はいない。ラフィーニャぐらいだろうか。

ペップ時代にブスケッツ、ペドロと成長させたバルセロナだったが、それ以降は自分達で育てて定着する選手は少ない。今ではモントーヤ、バルトラ、セルジ・ロベルト、ラフィーニャといるが、全員がスタメンの座を獲得できていない。ほとんど使われない選手もいる。バックアップ要素が強いメンバー構成だとも言える。

ピケやアルバのように出戻りの成功例もあるが、どうせなら自分達で成長させた方が移籍金もかからず、経済的でもある。しかし、現状はその環境がない。成長を見守るほどチームに余裕はない。

選手の基準が極端に高くなったのはあるが、現在ならBチームのハリロビッチ、レンタル中のデニス・スアレスなどは今夏の補強禁止処分もあって、来季からはトップチームに定着して起用しても面白い存在になるだろう。

来季の心配な点にシャビとアウベスの抜けたところが真っ先に挙げられるが、そこにカンテラの選手を起用するチャンスが来ているように感じる。

悪循環はすぐ目の前に・・・

セスクやピケがカンテラに所属していた時代、カンテラからトップチーム昇格がほとんどなかった当時は、トップレベルで活躍するには他クラブへの移籍は仕方ない選択であった。

若手の有望株の選手がどんどん流出する時代があり、最近でもその傾向は変わらない。トップチーム昇格できずに自分のカテゴリーで満足できないならば、他クラブからのオファーを聞く環境になってしまう。

現在ではトップチーム昇格を数年後に約束する契約内容でも、現状は他クラブにレンタルに出される選手がほとんどである。実質選手の成長を他クラブに任せているバルセロナは、多額のお金を使って優秀な選手を引っ張ってくるしかできないでいる

クライフが取り入れた全カテゴリーが同じサッカーを実践しても、昇格できないのであればとくに意味を持つことはない。最近ではカンテラ自体が、ただのお飾り状態になってきている。

この現状を取り除くためにも、補強を抑えてカンテラ重視のサッカーに切り替える必要がある。バルサでプレーするならカンテラに入るのが最短の近道であるように感じれたら、カンテラの存在意義はとても大きな意味を持つことになる。また、バルサファンの若手有望株も、バルサにやってくる機会は増えるだろう。

勝利を義務付けられすぎている現状から、カンテラ起用という少しの冒険も許されないのが大きな問題である。カンテラ起用はいつになることやら、世代交代は地味にどんどん迫ってきているのだが。

補強は決して悪くないが、アホのように毎年何千万ユーロも使って補強するのは大いに反対である。ポイントポイントに補強すれば良いだけで、後は選手育成のカンテラや練習施設に投資した方が、安定的に強さが持続できるだろう。

 
 

1 Responses to “若手育成の環境がないバルセロナ”

  1. レト より:

    理想と現実のジレンマですね。
    カンテラーノで組織されたチームも均質ゆえに特定の天敵を抱えるという欠点はありますし。
    パコ・ヘメスの下で理想の追求が許されるラージョが羨ましくもあります。

    Bチームの不振も頭痛の種です。
    ハリロビッチのインテリオールを試して失敗したり、一番の有望株だったサンペールが行き詰ってしまったりと、若手育成に失敗している印象があります。
    モントーヤのように才能はあっても向上心がなければ行き詰るのは仕方ないんでしょうが・・
    逆に向上心のあるバルトラはピケとポジションが被ってしまったのが残念でなりません。
    左も遜色なくこなせれば間違いなくレギュラーだったでしょう。

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