《質問》メッシの守備力は? サッカーの「守備」という定義は?

コメント欄に質問があったので回答したいと思います。

『・メッシは本当に「守備」をしない?

・「守備」の定義とは

よくアルゼンチン代表としてのメッシ批判でメッシは守備をしないということを聞きます。

また、バケンジさんもメッシの守備力の低さ(意欲のなさ?)については度々言及されていると記憶しています。

しかし、先日のチェルシー戦でセスクからボールをさらったシーンなどは守備をしているという印象を受けました。

そこで頭に浮かんだのは、「守備」の定義が違うのではないかという点です。

確かにメッシは戻るような守備(レスターの岡崎が好例かもしれません)はあまりしない(すべきではない?)という印象を持っています。

しかし、攻撃の起点になるような守備(バルサ的にいうところのボール奪取者がそのままプレーしてよい場合)は、それなりにこなしているのかなという印象を受けます。(バケンジさんも最近はメッシも「守備」をしていると評されていますよね)

また、ポジションによって求められる守備は異なるのではないかと思うので、ご教授いただければ幸いです。

ユーベのマンジュキッチが戻りすぎる癖からウインガーにコンバートされた例もあるため、一概に守備もする選手がいいとまでは言い切れなさそうです。』

 

貴重なコメントありがとうございます。コメント欄は記事の下部にあります。質問・疑問点だけでなく、思ったことなど何でも書いて頂けるとありがたいです。

 

見解・回答

1で「メッシは守備力は高いが、守備を意識的にしていないだけ」

2で「“守備の定義”とは難しいテーマで人それぞれ」

3で「ポジションというよりプレーエリアで求められる守備は違う」

4で「まとめ」

について書いています。

 

1、メッシは守備力は高いが、守備を意識的にしていないだけ

・メッシの守備力は間違いなく高い

まずメッシの守備についてで、アルゼンチン代表の批判はよく知りませんが、メッシの守備力は高いと思います。

周りの状況を理解したコースの切り方、危ないと思えば(CKのカウンター時など)全速力で戻ってきますし、そしてなにより1対1の守備力が高いです。

メッシが本気で守備をすれば、1対1で抜ける選手は数少ないはずです。

メッシはスピードもあり瞬間的なスピードも速いです。そして相手のドリブルを読むことにも長けており、守備時の体の入れ方なんて手本のような体の使い方をしていますよ。

さすがにメッシがCBをして、フィジカルコンタクトが多い守備をすればその守備力は低いと思いますが、FWや中盤の守備ならメッシの守備力は問題ないです。

「メッシの守備力が低い」と僕は言ったことがないはずで、メッシの守備力は20代前半のころから高いと思っていたので、メッシの守備力が低いという表現はしていないはずです。

 

・メッシは良い意味で守備をさぼっています^^

僕がメッシの守備を表現しているのは、「守備をしない(さぼっている)」です。

メッシはバルサのエースで、守備は特権によりそこまでしなくて基本OKだと思っています。

しかしチームが苦しい状況や危ない状況になり、攻撃に専念させているメッシが力を発揮できない(メッシにボールが渡らない)なら、メッシも守備に参加するべきだと僕は考えています。

表現が正しいか分かりませんが「メッシの攻撃力を最大限生かすために守備は免除していて、メッシのためにほかの10人が守備をしている」です。

チームの勝利のためにメッシの攻撃力を生かすことが、近年のバルサではチームにプラスなので、メッシがあまり守備をする必要はありません。

 

バルサの選手たちはスター揃いですが、メッシの攻撃力はよく理解しているので、

「メッシに守備をさせず俺たち10人が守り、メッシにボールを預ければ勝利に導いてくれる」

という思いがあるので、メッシの守備免除を容認しているはずです。

メッシはチームの勝利のために守備をさぼっているので、自陣まで下がっての守備はしなくていいとは思います。(まぁ歩いて休んどけよ!っていう感じですね^^)

その分、攻撃で活躍できなかったらメッシはたたかれるのですが、アルゼンチン代表では攻撃で活躍できていないことが飛び火して、守備をしないと批判されているように感じています。

 

僕としてはボールロストしたら、その選手がボールを奪いにいくのが基本だと思っているので、メッシは歩くことがあるのでこの面は僕は納得していませんが^^;

それでもこの面もバルサの選手たちは容認しているので、チームにとっては問題ないです。僕の試合の選手評価では多少マイナス要素にしていますが^^

 

・アルゼンチン代表のメッシは孤軍奮闘の状態で活躍は難しい

話はそれますが、アルゼンチン代表のメッシについても少し。

アルゼンチン代表のメッシは、ほぼ孤軍奮闘の状態で一人でもがいて闘っています。

周りがボールを前に運べないのでメッシが後ろに下がり、ボールを受けてパスをさばき、周りのサポートもほぼないので一人で相手の守備ブロックを突破しなければいけません。

アルゼンチン代表の前線も下がってボールを受ける選手は少なく、メッシのサポートになる選手は実質ディ・マリアくらいですかね。

サンパオリ監督になってからは中盤でメッシをサポートするために、パスをさばける選手を配置するようになりましたが、それでも力不足感は否めません。

メッシが中盤を突破して前線につなげる形が現在のアルゼンチン代表です。

バルサでは中盤の突破はバルサの周りの選手がしてくれて、メッシは相手の最終ラインに仕掛けられるので、得点やアシスト数が増えるのは当然の結果です。

中盤でメッシをサポートできる選手を増やし、メッシをもっと高い位置でプレーさせることができれば、アルゼンチン代表でもメッシがバルセロナに近い活躍はしてくれると思っています。

ディ・マリア、アグエロ、イグアイン、(ディバラ)など前線の選手は、世界各国がうらやむくらいのタレント揃いのアルゼンチン代表なので、メッシが高い位置でプレーできて前線の選手が相手のゴールに近い位置でプレーできさえすれば、勝率は高くなるはずです。

この戦いができるかと聞かれれば…まぁムリだろうというオチなんですけどね^^

それでもアルゼンチン代表が強いチームなのは変わらないので、ロシアW杯で良い結果を収めれることを願っています。

 

2、“守備の定義”とは難しいテーマで人それぞれ

・「守備の定義」とは

「守備の定義」ですが、定義だけでいうなら「備えて守ること」です。

漢字はうまくできているので、定義が分からなければ漢字の意味を考えれば定義は出てきます。

辞典などで「守備」を調べても「(敵の攻撃に)備えて守ること」と出ているので、ことばの定義という部分ではこれで解決だと思います。

 

・「サッカーにおける守備の意味」とは大きく2つ!?

といっても多分聞きたいことはこんなことはないですよね^^;

サッカーにおける守備だと思うので、定義という言葉ではなく「サッカーにおける守備の意味」ということで話を進めていきます。

これには僕は大きく2つあると思っています。

1つ目は「自分たちのゴールを守ること」

2つ目は「相手のボールを奪ってマイボールにすること」

 

恐らく、多くの人は1つ目の意味で守備という言葉を使っていると思われます。

しかし、僕が考える守備は多くの状況で2つ目の「相手のボールを奪ってマイボールにすること」です。

この意味はおそらくバルサにもピッタリの意味で、僕がよく使う“攻撃的な守備”というのは相手のボールを奪いにいく守備を指しています。

 

・監督それぞれで考え方が違うので、使い分けは難しい

守備における大きな2つの意味を書きましたが、この使い分けは監督それぞれだと思います。

バルベルデ監督は敵陣地深くではプレッシングで積極的にボールを奪いにいく守備をし、ハーフライン付近から後方は、ゴールを守る守備(ブロックを敷く守備)を使い分けています

ピッチを縦で100mあるとすれば、相手ゴールに近い33mはボールを奪いにいく守備、それから後方の67mはゴールを守る守備を実践しているようにみえます。

僕の考えは、相手ゴールに近い70mをボールを奪いにいく守備、それから後方の30mがゴールを守る守備なので、だから僕は「もっとボールを奪いにいく守備をしろ!」というのだと思います。

この考え方は監督によって違い、また対戦相手によっても変化します。

これは戦い方を決める監督次第になるので、選手の考えと大きく違えばその選手は苦しむかもしれませんね。

一概に正解という考えはなく、ただ僕は相手のボールを奪ってマイボールにすることが好きなので、ボールを奪いにいく守備するエリアを増やしてほしいと思っています。

おそらくバルサファンもマイボールにして、自分たちでボールを動かして試合をコントロールするのが好きな人のほうが多いとは思います。

 

3、ポジションというより「プレーエリアと状況次第」で求められる守備は違う

・ポジションとシステムの細かい話はどうでもいい!

ここでぶっちゃけますが、ポジションとシステムに変なこだわりがある人がいますが、そんなのどうでもいい話です。

GKは手を使ってゴールを守る選手、DFは後方の自分たちのゴールに近い選手、MFはチームの中央付近にいる選手、FWは相手のゴールに近い選手というだけで、勝手にポジションをつけているだけです。

ポジションをつける意味は、チーム全員で共通の言葉で話してチームの戦い方を明確にするためで、それ以上でもそれ以下でもありません。

優秀な選手たちの集まりなら

「お前ら4人は後方でプレーしろ、お前ら4人は中央付近でプレーしろ、お前ら2人は前でプレーしろ」と言えば、勝手にポジションを決めて上手くプレーしてくれるはずです。監督いらずです^^

 

システムもチーム全員で共通の言葉で話してチームの戦い方を明確にするためです。

またピッチ外の人がピッチ上を認識するために、勝手につけている数字でしかないので、今のバルサを4-4-2でも4-2-3-1でも4-2-1-3でも、ピッチ上にはなにも影響しませんよ^^;

共通で話すために僕は4-4-2というシステムを使っているだけです。

システムを呼ぶ時の考え方も人それぞれあると思いますが、僕は基本

「守備ブロックを敷いた時の形をシステム」

として呼ぶようにしています。現在のバルサは4-4-2の守備ブロックなので、4-4-2と僕のブログでは書いているだけですよ。

ピッチ上を理解するためにポジションやシステムを理解することは必要ですが、それがDHかCHといった細かいことや4-4-2か4-2-3-1かなんて議論は必要ない!、ということが言いたかっただけですけどね^^

 

・プレーエリアと状況次第で求められる守備は違う

ポジションやシステムの細かい議論は必要ない!という話をなぜしたかというと、守備にはポジションはそこまで関係ない、ということが言いたかっただけです。

ポジションは関係ないというのは言い過ぎですが、守備はプレーエリアと状況次第で優先順位は変化します

プレーエリアでは、敵陣地と自陣では守備の優先順位が変わってくるのは当然ですし、ピッチをもっと細かく分ければいくつかのエリアに分けれるはずです。

状況次第では、1対1、2対1の数的有利、1対2の数的不利など変わってきますし、これにはプレーエリアとチームの守り方も影響してきます。

ほとんどの守備の場面では、プレーエリアと状況次第で守備の優先順位が変わってくるので、それをひとつずつ書いていくと、恐らく数千~数万になると思うので、さすがに割愛させていただきます。

 

・守備の優先順位と呼ばれるセオリーは明確にある

守備の優先順位と言われても、ピンとこない人がいるかもしれないので、1つだけ例と考え方を紹介します。

ここまで長かったですが、ここが一番長いです^^

上下にスクロールしながら何度もみないと、恐らくわかりませんよ^^;

 

・「1対1のマークからの守備」をする時のセオリー

①自分の背後の裏を一発で取られないように裏を警戒する

②パスカットで相手にボールを触れさせずにボールを奪う

③相手のワンタッチめを狙ってボールを奪う

④ワンタッチめでボールを奪えないなら、相手に後ろ向きでボールを触らせて後方のプレーに限定させる

⑤後方のプレーに限定できなかったら横向き(体がゴールに対して半身)でプレーさせて、自分たちのゴールの方向にはプレーさせない

⑥もし前を向かれたらシュートコースやFWへの、ゴールに向かうコースを切る

⑦コースを切るとほぼ同時に、相手をスピードに乗せたプレーでゴールに向かわせない

⑧抜かれないように守備をし、なるべく前ではなく横や後ろへのプレーに限定していく

 

解説すると

①背後を一発で取られたら何もできずに独走されるので気を付けます

②ボールを奪うための最善策は相手が触る前に自分が触ることです

③相手が先に触る状況になっても、ワンタッチめのトラップでボール奪取を試みます

④ワンタッチめでボールを奪えないなら、後ろのプレーに限定して自分たちのゴールに近づかせない

⑤後ろのプレーに限定できなくても、ゴールに向かわせないように横向きのプレーに限定します

⑥前を向かれても焦らず、ゴールを守るためにシュートコースやゴールに近い選手のコースを切ります

⑦スピードに乗せると厄介なので、スピードに乗せないように対応します

⑧抜かれるとその局面を打開されるので、相手の動きに合わせながら横→後ろとプレーを限定していきます

 

選手が意識してプレーする場合はなにをするか?

①自分のゴールと相手の間にポジション取りします

②パスが来るのを予測して相手の前に入ってボールを先に触ります

③ワンタッチめは相手の体のバランスの状態が悪い状況が多いので、しっかり寄せてボールを奪えるならボール奪います

④ボールキープされても、しっかり寄せて後ろ向きでプレーさせます

⑤後ろ向きでプレーさせることに失敗しても、前を向かせないために寄せて横向きでプレーさせます

⑥前を向かれたら危険なコースやエリアとなるゴール前のコースを切るために、ゴールや相手FWのコースに立って守備をします

⑦スピードに乗らせると抜かれる可能性が高くなるので、相手との距離は近くで対応します

⑧コースを切りながらしっかり相手についていき距離を縮め、相手の体の向きを横→後ろにするように努めます

 

試合をみているファンの目線ならどこを確認するかといえば?

①正しいポジショニングができているか

②正しいポジショニングから予測して相手に寄せているか

③相手に寄せきれてボール奪取のチャンスでタックルしているか

④ポジショニングからどれだけしっかり寄せれているか

⑤寄せている距離が甘くないか

⑥危険なコースを切りながら1対1の対応をしているか

⑦寄せながら相手の動きについていけているか

⑧相手の動きに合わせながら体を寄せて相手のプレーを限定できているか

 

セオリー、解説、選手目線でやること、ファンとして映像で確認すること

の4つを書いてみました。

 

このブログでは選手目線はあまりやらず、試合を理解するというファン目線が多いので、

1対1のマークからの守備で見るべき点は

ポジショニング、寄せているか、コースを切れているか、相手の動きについていけているか

の4つをみれば「1対1のマークからの守備」ができているかは判断できると思います。

 

ひとつのプレーの例をだしたので、あとは自分で考えて答えは出せると思います。

 

自分で“考える”ことがなによりも重要で、間違っていたとしても自分の答えというものを出してください。

サッカーの知識はほんの少ししかないので、考えれば誰でもサッカーを理解できるはずです。

頑張ってください!

 

考えて読まれていた方は、「サッカーにおける守備」の大きな意味

1つ目は「自分たちのゴールを守ること」

2つ目は「相手のボールを奪ってマイボールにすること」

のところと、最後の

「1対1のマークからの守備」のところがつながっているはずです。

優先順位が高いプレーは「ボールを奪う守備」で基本構成され、低いプレーが「自分たちのゴールを守ること」になっていると理解できたと思います。

これが守備の大きな意味と優先順位なので、後は大丈夫でしょう^^

 

4、まとめ

・メッシは守備力はあるが、良い意味で守備をしない

・サッカーの守備の意味は大きく2つで、それは人によって使い分けが異なる

・プレーエリアと状況次第で求められる守備が違う

・1つの守備のセオリーを知り、考えれば他のプレーのセオリーも見えてくる

 
 

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