プレッシングをかけるために絶対に必要な3つとは?
バルセロナと言えばポゼッションサッカーですが、
守備ではプレッシングが代名詞となっています。
ペップ時代は鬼プレスと恐れられたバルサのプレッシングも、
近年はプレッシングの迫力がなくなっているのが事実。
今回はプレッシングをするために必要な3つについてです。
さっそく結論ですが、その3つとは
・ボールを奪う意識を持ち、奪うポイントをチームとして意思統一
・最終ラインを高く押し上げて守る範囲を狭める
・個での激しいマークとプレッシング
それでは一つ一つ説明していきます。
■ 目次
ボールを奪う意識を持ち、奪うポイントをチームとして意思統一
まずはボールを奪う意識をチーム全員に持たせる
プレッシングに真っ先に必要なことは、
プレッシングでボールを奪うことをチームとして意識できているかです。
チーム全体にプレッシングでボールを奪うという意識がなければ、
プレッシングは絶対にかかりません。
「プレッシング=攻撃的なボールを奪うための守備」
という意識をチーム全員が持つ必要があります。
まずチームという選手全員の頭の中にプレッシングの意識を持たせ、
そこからボールを奪うポイントをチームで意思統一します。
ボールを奪うポイントをチームで意思統一
ボールを奪うポイントはパスの出されたところ(出所)が基本的な形で、
あとは相手のどのポジションの選手でボールを奪うか決めます。
バルセロナでは前線の選手が相手を高い位置から追い回し、
コースを限定された中での縦パスを中盤の選手がカットすることが1番目の狙い。
さらに相手選手が中盤にパスを出すことができず、
苦し紛れに前線に蹴ったボールを奪うのが2番目の狙い。
バルセロナではほぼこの2つが徹底されているときに、
プレッシングが発動されます。
プレッシングがかかっていないか見極めるには
・前線の選手が相手を追い回していない(パスコースが限定されていない)
・中盤や最終ラインの選手が相手選手のマークにつけていない
主にこの2つのポイントをみることで、
そのチームのプレッシングの強度と意思統一されているか判断できます。
最終ラインを高く押し上げて守る範囲を狭める
チーム全体にプレッシングの意識を持たせ、
ボールを奪うポイントをチームとして意思統一させた後に大事なことは、
最終ラインが高いライン設定をしてチーム全体の守る範囲を狭めることです。
サッカーにはオフサイドという相手のゴール前で待つと反則になるルールがあり、
このルールはプレッシングをかけるのに重要なポイントになります。
最終ラインを高く押し上げることで実質相手選手の動ける範囲を狭め、
これが自分たちの守る範囲を狭めることを助けてくれます。
選手ひとりひとり(人間ひとり)の守備範囲には限界値があり、
11人全員でピッチすべてをカバーすることは不可能。
守る範囲を狭めることは味方選手との距離感を縮めカバーリングしやすくなり、
さらに相手選手にスペースを与えないことでよりプレーを難しくする作用もあります。
現在のサッカーでは最終ラインを高く設定して相手選手の動ける範囲を狭め
その狭い範囲でプレッシングをかけるのが主流です。
バルセロナでは相手のビルドアップからプレッシングをかけ、
相手陣地でボールを奪おうとします。
なので最終ラインはハーフラインかハーフラインから10m後方までに設定するのが基本です。
チームによっては最終ラインを自陣の真ん中やPAの前に設定し、
敵陣地の高い位置というよりハーフライン付近から
プレッシングをかけるチームもあります。
プレッシングをかけるエリアはそれぞれチーム(監督)の個性が出ます。
しかし、最終ラインと最前線の距離感が近くなるようにして
守る範囲を狭めていることに変わりありません。
なのでプレーエリアの違えこそあれど最終ラインを高く押し上げることは、
プレッシングをかけるすべてのチームがしています。
個での激しいマークとプレッシング
最後はチーム全体や戦術面ではなく、
選手ひとりひとりがいかに激しく相手選手をマークして
守備をしているかが大事です。
サッカーはチームスポーツで一人でチームを勝利に導けないとはいえ、
選手ひとりひとりのプレーの集合体から成り立っているスポーツです。
言い換えれば、選手ひとりひとりのプレーが
チームのパフォーマンスに影響するスポーツです。
いかにチームにプレッシングの意識を持たせ
ボールの奪うポイントを意思統一し、
最終ラインを高く押し上げ守る範囲を狭めても
相手選手に激しく守備をしなければプレッシングにはなりません。
相手選手に激しく守備をするのはチームの守備ではなく、
“個の守備”の問題です。
個の守備は監督やコーチなどのテクニカルスタッフから指導は受けますが、
最終的に実行に移すのは選手本人の意思がすべてです。
サッカー選手も人間なので激しい守備は体力を消耗し頭を使い、
しんどいものなので楽をしようとしてサボろうとするものです。
そうなのですがその中でも選手ひとりひとりが集中力を保ち、
チーム全員が激しい守備をすればプレッシングは間違いなくかかります。
チーム戦術やポジショニングはプレッシングにとって重要ですが、
根選手ひとりひとりが激しい守備をしているかが最も重要です。
もしもその日に寄せ集めた急造チームで
バルセロナの4-3-3のシステムで試合をしたとしても、
「ボールに一番近い選手がボールに素早く寄して、他の選手は目の前のフリーの選手に激しくマークして守備をしろ!」
「2人のCBとアンカーの3人は守備のバランスを考えてポジショニングに注意しろ!」
この2つの指示が実行されるならプレッシングは結構かかります。
それくらい選手ひとりひとりの集中した激しい守備が重要です。
バルセロナでは選手ひとりひとりが激しい守備をしているとは程遠く、
チーム全体で激しい守備といえる試合はシーズンに多くないという現状です。
チームの意思統一やチーム戦術というよりも
近年のバルセロナは激しい守備ができていない、
“個の問題”がプレッシングがかからない大きな要因にみえます。
ビダルが試合に出場しているときはプレッシングの強度が明らかに高いですし、
チーム全員がビダルに近いレベルで激しく守備をすれば
バルサがプレッシングでボールを奪う回数は増えるでしょう。
個での激しい守備はプレッシングに欠かせないものですが、
試合の90分間通して100%の力でプレッシングをかけるのはとても大変です。
100%の力で90分間プレッシングをかけようとしても
60分を過ぎるころから体力的な面で足が止まって
プレッシングは弱くなる傾向があります。
なのでプレッシングといっても90分間通してずっとかけるというより、
チーム(監督)によっては時間帯や試合の展開次第で
今はプレッシングをかけるのか、かけないのか使い分けています。
今シーズン欧州で最強と呼び声高いリヴァプールは、
プレッシングをかけれる時間が他のチームより長いですね。
チーム戦術というよりも選手ひとりひとりがタフで、
高い集中力を保って激しい守備を長い時間継続していることが
最強と呼ばれる大きな要因だと思います。
クロップ監督はチーム全員にハードワークを求め、
それに選手ひとりひとりが応えることにリヴァプールの強さを感じます。
選手の全力に近いプレーを常に引き出すクロップ監督は凄いですね。
まとめ
プレッシングをかけるには
ボールを奪う意識を選手全員がもち、奪うポイントを意思統一し、
最終ラインを押し上げて守る範囲を狭め自分たちに有利にし、
選手ひとりひとりが激しいマークと守備をすることが重要です。
現在のバルセロナでは(×、△、〇、◎という評価で)
ボールを奪う意識は〇
奪うポイントの意思統一は△
最終ラインの押し上げは〇
激しい守備は△
とバケンジは評価しています。
奪うポイントの意思統一はセティエン新監督なので仕方ないとしても、
選手ひとりひとりの激しい守備はもっとやらないといけないです。
セティエン監督がチームのプレッシングをもっと強化できれば、
バルセロナは高い位置でプレーするのが楽になるはずです。